生者に梔子 公演情報 牡丹茶房「生者に梔子」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    前半は死ぬ程面白い。この設定、この導入だけで群を抜いた才能。清水崇や中田秀夫はこの作家〈烏丸棗(からすまなつめ)さん〉に書かせた方が良い。「ああ、成程」と細かい所まで工夫の効いたシチュエーションに感心。テーマは「口は災いの元」。詰め過ぎの客席、客の期待度はMAX。

    山形県にある黒殿山深願寺。冬の雪山の禅寺にて泊り込み一週間の断食道場を実施。参加者は女性四名、男性二名。住職の國枝大介氏、スタッフの飯智一達(いいともかずと)氏、池島はる香さん、二ツ森恵美さん。
    芸能事務所所属の赤猫座ちこさんは8キロ痩せることを事務所から要求されて決死の覚悟。売れない芸人(杉本等氏)と妻(片渕真子さん)、専業主婦(三浦久枝さん)と仲の良いその隣人(佐藤友美さん)、やたら下調べをしてこの地に詳しい山田健太郎氏。

    空腹でギスギスしていく人間関係。大雪に閉じ込められていく寺院。不意の闖入者。

    飯智一達氏は楽しんごとライスの田所仁似。

    ネタバレBOX

    ここは曹洞宗の寺ではなく、元々は江戸時代に湯殿山(黒殿山?)信仰の拠点(山形県鶴岡市)となった真言宗・山岳信仰の寺院。自らの意志で断食死しミイラ化した遺体を即身仏と呼ぶ。一世行人(いっせいぎょうにん)と呼ばれた一代限りの修行者の即身仏を御本尊に祀る伝統。
    参加者達は次々に起こるトラブルが自分等を即身仏にさせる為の罠ではないかと訝しむ。

    この辺りから話がもやもやし始める。この寺では口のない女性(二ツ森恵美さん)を尸童(かばねわらし)と呼んで御本尊に奉っている。昔、廃墟の寺院で務所帰り(?)の國枝大介氏は尸童と出会った。人の死の間際の告白を聞くことが性癖だった彼はネットで自殺希望者を集めて逮捕された。尸童の正体はハッキリしない。病気の女性とも考えられるが、口腔のない人が生きられるとは考えられない。國枝氏は断食合宿参加者を極限状態に追い詰め、死の前の告白をさせる。その上で「これは嘘でした。お帰り下さい。」と参加者に帰宅を促す。怒り狂った参加者にリンチされて殺される国枝氏。実はこれも国枝氏の当初からの策略で、皆に誰にも話せない共有する罪の意識を植え付けることが目的。尸童に抱かれて死んでいく。

    ディレクターや輩の存在意義もハッキリしない。即身仏に憧れる修行僧みたいなキャラが欲しい。
    撮影された謎の映像を後日観ている、別の視点が必要。その語り手がこの寺で一体何が起こったのか考察するような構成にするべき。

    後半はどんどんどんどんガッカリしていった。

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    2023/02/16 15:12

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