とりあえず寝る女 公演情報 箱庭円舞曲「とりあえず寝る女」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    要するにマイファミリー
    みな兄弟!ってな感じの内容。コメディかと思ったくらい笑った!笑った!爺隠才蔵の登場で笑い、ってかこの役者、初めて観たけれどものすっごいインパクトある。この名前は本名じゃあないよね?笑。劇中、押入れの中で生あくびはするは、本番中なのに何だか自分ちの炬燵にでも入ってるような緩さ!演技なんだか、図太いんだかよく解んない。笑。
    小林タクシーは相変わらずの絶妙な演技!そして今回の目玉はなんといっても赤澤ムックだ。実にいい。とにかくいい。笑の半分は彼女が取ったようなものだ。舞台セットが美しい。。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    当日の配ったパンフには幼児を犯してるような絵図がある。これを見た瞬間、「とりあえず寝る女」の「寝る」とはこっちの「寝る」かぁ・・。と感じる。

    物語は二人の姉妹を軸に動く。今は亡くなった母の血の継承なのか、妹・殊は誰とでもHする。男にとっては都合のいい女だ。男が彼女を見たとき軽んじてもいい女だと判断してしまう何かが潜む。この女ならぞんざいに扱っても踏みにじっても大したことではないと思わせてしまう何か。そして、そのことを彼女自身心のどこかで知っていると察知させてしまう何かが彼女にはある。だから男が隙間なく寄り付く。寄り付くたびにヤラせちゃう殊。

    一方で姉・真理の恋人・椎名も一度だけ殊を抱いた。この過ちを真理は知ってはいるが椎名を許せなくも嫌いになれない。突き放して切ってしまえばいいものを椎名を好きな真理は「信じることが出来ない。」といって悩み葛藤する。宙ぶらりんなのだ。好きだけど信じられない。どうして裏切ったのか。と引くことも進むことも出来なくて、だからといって切ることも出来ない。それでもただただ、傍にはいてほしい。

    そして過去に真理は種違いの殊の父親に犯されていた。こんな環境の姉妹が暮らす家に立ち退きを進める役人と親睦会長、叔父さん、姉妹の恋人ら、近所のカフェ経営者、受験の為に上京した親子が絶妙に絡む。この受験の親役の赤澤ムック扮する代海が大概のバカさ加減で会場を笑わせる。

    「誰とでも寝る女」と烙印を押された妹と、姉との感情の交差と距離感がなんとも切ない。切ないけれどここで関わる男女の関係はぐちゃぐちゃなのだ。(苦笑)
    この物語には結論はない。引っ越して行った姉妹には相変わらず恋人たちが付いて行ったのかどうかも解らない。だけれどこの二人を飲み込んでいた家の外では、凍て付いた雪の世界から、季節はすっかりうつろぎ、はらはらと桜が舞うなか姉妹の残像が浮かび上がる。そしてその穏やかな光景の中、受験生だった純子が吉報を持ってきたように佇んでいた。春の便りだ。


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    2010/04/05 14:39

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