満足度★★★★
さわやかな井上作品。
いつも大笑いして見る井上ひさし作品だが、今作は少しテイストが違い、胸をしめつけられたり涙を流したりしながら観た。喜劇を観たという感じではない。それでもやはり笑いどころ満載で、たっぷり楽しませてもらったのだが。
多根周作は晩年の石川啄木をさまざまな悩みを抱えながらも前向きに生きる人物として演じている。とてもさわやかで独特の品がある石川啄木だ。多根周作が演じると人物に気品が出てくる。さすがだ。そして金田一京助を演じた伊原農がこれまたとてもいい。スーパーお人好しの金田一氏を、魅力たっぷりに演じた。
この作品をさわやかに仕上げるところがハイリンドの持ち味か。愛すべき劇団だ。