ゴルゴダ・メール 公演情報 劇団俳小「ゴルゴダ・メール」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    お見事!
    アスペルガー症候群は、興味・関心やコミュニケーションについて特異であるものの、知的障害がみられない発達障害のことである。「知的障害がない自閉症」として扱われることも多いが、公的な文書においては、自閉症とは区分して取り扱われていることが多い。
    とあるが、アスペルガー症候群役のキャストらの演技が秀逸!素晴らしい物語でした。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    イエスが十字架に架けられ処刑された場所、そしてイエスの遺体が埋葬された墓があるのがゴルゴダの丘。このキリストを物語に組み込んでの罪と罰を暗示させながらアスペルガー症候群の彼らと一般の人たちとの関わり合いを問題提示した作品でした。

    物語はアスペルガー症候群の人たちとと一般の人たちが同じ土俵で演技をすることになったが、うまくかみ合わない。鯛焼き屋の真鍋は彼らにいらつき、また、症候群らは戸惑う。症候群らは人の言葉を額面通りに受け取り、人が吐いた言葉の裏に何が隠されているかを想像できない。純粋なのだ。しかし、一般の人たちが純粋でないかというと、そうではない。おおかたの物事の成り行きはきっと、「常識」という曖昧な見えない枠で個々が判断することが多いのだと思う。一般常識。それでもこの「常識」というやつは人によって違うのだけれど・・。

    やがて・・芝居を通して症候群らが受けてきた悲惨なイジメの数々や、彼らが学校に居る人たちは学校の備品だと思い込んでいたエピソードなども明らかにされる。「未歩ちゃん、変だよ」と沢山の人に言われて自分は妖怪人間か魔女か宇宙人で人間じゃないんだ・・・。と思いこんでいた感情をも吐露される。そして、家族の関わりも・・。

    芝居の中の演出家とその助手の関係性も面白い。演出家に対する助手の、心理的に男を軽蔑し見下すさまは演出家を激怒させ更に劣等感をも構築させてしまう。結果、演出家は助手を偽善者呼ばわりして暴力を震う。

    今回の物語はこういった心理状態に重点を置いた作品だったと思う。症候群の彼らも私たちもイエスもイエスを処刑した人たちも同じゴルゴダの地に佇んでいるのだ。

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    2010/03/28 10:41

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