実演鑑賞
満足度★★★
客は関係者(?)を入れて十人、不安になる程。だが始まれば観に行って正解だったと誰もが思う筈。女優三人でこれだけの世界を演れるのか。脚本はまさに才能次第。一人の女性の実存に斬り込んでいる。
流される曲はクラシックのスタンダード、余りにも正攻法。メルヘンチックな描写は大林宣彦調、『ふたり』なんかを想い出す。少女の一人遊びのような心象風景。
上半分だけ二次元美少女キャラのお面を付けて(偽った自分を演じるメタファー)、コンセプトバーで働く主人公(マタハルさん)。コンセプトはかぐや姫。いつか月に帰る日まで皆を接客し楽しませる設定。ある夜、占い師に「あんたは死相が出ている。生き物を飼いなさい。」と勧められ、ハムスター(じゃじゃんがさん)を買ってくる。そんなある日、ガチ恋の常連客(じゃじゃんがさん)とのトラブルを理由に30代にして5年勤めた店を卒業させられる。気力を無くし、部屋に引きこもる主人公のもとに、昔の自分によく似た女(ちこゆりえさん)が現れる。
マタハルさんに透明感があって魅力的。
ちこゆりえさんの演技力のポテンシャルはヤバい。
じゃじゃんがさんのドスの効いたキャラ。
作・演出の加藤睦望さんの世界、妙に記憶に残る話。