ドッペルゲンガーちゃん 公演情報 坊ちゃん嬢ちゃん「ドッペルゲンガーちゃん」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    客は関係者(?)を入れて十人、不安になる程。だが始まれば観に行って正解だったと誰もが思う筈。女優三人でこれだけの世界を演れるのか。脚本はまさに才能次第。一人の女性の実存に斬り込んでいる。
    流される曲はクラシックのスタンダード、余りにも正攻法。メルヘンチックな描写は大林宣彦調、『ふたり』なんかを想い出す。少女の一人遊びのような心象風景。

    上半分だけ二次元美少女キャラのお面を付けて(偽った自分を演じるメタファー)、コンセプトバーで働く主人公(マタハルさん)。コンセプトはかぐや姫。いつか月に帰る日まで皆を接客し楽しませる設定。ある夜、占い師に「あんたは死相が出ている。生き物を飼いなさい。」と勧められ、ハムスター(じゃじゃんがさん)を買ってくる。そんなある日、ガチ恋の常連客(じゃじゃんがさん)とのトラブルを理由に30代にして5年勤めた店を卒業させられる。気力を無くし、部屋に引きこもる主人公のもとに、昔の自分によく似た女(ちこゆりえさん)が現れる。

    マタハルさんに透明感があって魅力的。
    ちこゆりえさんの演技力のポテンシャルはヤバい。
    じゃじゃんがさんのドスの効いたキャラ。
    作・演出の加藤睦望さんの世界、妙に記憶に残る話。

    ネタバレBOX

    Oasisの代表曲、『Wonderwall』。

    「誰もいやしないんだ
     俺くらいお前の事を想っている奴はね」
    「だって多分
     俺を救ってくれるのはお前だけ」
    「俺は多分前にも言った
     俺を救えるのはお前しかいない」

    窮地に陥った自分を励まし力になってくれるもう一人の自分の歌。どうしようもない状況で自問自答している。

    主人公にガチ恋していた常連客に捨てられた恋人が、復讐の為に顔をそっくりに整形して近付いてきたというもの。他人に恋愛感情を持てずにいた主人公は、”もう一人の自分“となら上手くやっていけそうな気がする。この心底落ち込んでどうでもよくなった自分が、再生していく過程が丹念に描き込まれる。ラストの「さびし〜〜〜!!」が効いた。

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    2023/02/05 08:48

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