おやすみ、お母さん 公演情報 風姿花伝プロデュース「おやすみ、お母さん」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    なんとも後味のすっきりしない芝居。娘ジェシー(那須凛)が、母に「2時間後に自殺する」と告げる。そこから2時間弱の二人の対話劇。亡き父を、母は愛さなかったことにこだわるジェシー。ジェシーの離婚した夫のこと、ぐれて行方不明の息子のこと、病気のてんかんのこと…。

    ジェシーは、家事をしない母のために、自分が死んだ後も不便がないよう、キャンディーの詰め替えや、鍋の整理などをこまごまやり続ける。手を休めることなく、しゃべり続けるジェシーに、母は「生きていてくれるだけでいい」「私が死ぬまで数年待って」と頼み込み、病気のことでは悪かったと謝るが。

    ネタバレBOX

    なぜ自殺するのかがどうしてもぴんと来ない。「目的のないバスに乗って、どこで降りても同じなの」など、自分の人生にうんざりしたことをちらちらいうが、膨大なセリフがあるのでそれが埋もれてしまう。離婚や、病気や、田舎で埋もれているからと自殺していたら、みんな死ななければならないではないか。しかも、こんなにしっかり自分の人生を語れる人が死ぬだろうか。那須凛が若すぎてキラキラしているから、自殺するとは思えないからかもしれない。

    観劇した友人は「ダメ母親の面倒を見なければならず、家に縛り付けられているのが嫌になったからだよ」と言っていたが、そんなに嫌な母親だろうか。娘はそんなに母との生活を苦にしているだろうか。これも那須佐代子がもつ気品のせいで、ダメ母親に見えないのかもしれない。
    2度ほど、何の脈絡もなく「中国共産党」のことばが出てくる。なぜかわからない。

    どこかで自殺をやめるのだろう思っていたら、結局ジェシーの気持ちは変わらず、寝室に引っ込んで銃声がする。考えてみたら、必然の結末なのだが、どうもすっきりしない。田中泣いて止めた母親も、最終版は諦めて、娘の用意した別れのプレゼントをおとなしく受け取るようになる。でも、本当にもう死ぬ段になると、縋り付いて止め、振り払われて泣き崩れる。身も世もない姿は哀れであった。それでも、銃声の後、気丈に息子に電話をかけるのだが。

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    2023/02/01 12:21

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