ブロウクン・コンソート 公演情報 パラドックス定数「ブロウクン・コンソート」の観てきた!クチコミとコメント

  • 犯罪ドラマは熱さよりもクールさを旨とすべし
    SPACE EDGEという場所は、もともと工場かなにかだったのだろうか。五反田のアトリエヘリコプターの雰囲気にちょっと似ている。これまでに2度ほど、パラドックス定数の芝居で来たことがあるが、今回はこれまでの上演場所だった奥へは入らずに、以前は受付があった手前のスペースに客席を設けている。

    話の内容も、今回は歴史的、社会的な事件を背景にして男たちのドラマが展開するという得意のパターンではなく、拳銃の密造工場に出入りするヤクザ、刑事、工員、殺し屋のやりとりを描いている。

    私が見始めた当初、パラドックス定数の芝居の登場人物はもっぱら黒いスーツの男たちだった。その辺のこだわりから、クェンティン・タランティーノ監督の映画「レザボア・ドッグス」を連想したこともある。そして今回は拳銃が絡んだ悪いやつらの物語だということで、いよいよ「レザボア・ドッグス」みたいなギャング物が見られるのではないかと期待したのだが、残念ながら本編はクールな犯罪アクションからは程遠い内容だった。別に作り手のせいではなく、勝手にそういうものを期待した私が悪いんだけど・・・

    それに、人物や状況の設定がちょっと現実離れしすぎている気がした。青山学院大学に通う学生の殺し屋というのもちょっとぶっ飛びすぎているし、日本にも悪徳警官はいるかもしれないが、拳銃の密売を賄賂をもらって黙認するというのはちょっと考えにくい。仮にいたとしても相棒の刑事までがそれをとがめないというのはありえない気がする。劇中では銃声も何度か響き渡るが、それに対しても登場人物たちはみんな警戒心が薄い。警察に通報される危険があるということに無頓着すぎる。拳銃の密造をする工員にしても、たとえ家族だからといって知恵遅れの兄を犯罪行為に引き込むのはリスクが大きいとは考えないのだろうか。犯罪に手を染める者は犯罪が露見する危険性に対して、もっともっと過敏で用心深くなければ、見ているほうも面白くない。

    0

    2010/03/23 20:03

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大