満足度★★★★
イロトリドリの。
自分たちの親は将来、誰が面倒をみるのか。という素朴な疑問は兄弟姉妹間で綿密に話し合われなくとも生まれた境遇や立場で何となくわかっているものだとおもう。すべての困難を優しさでカヴァーできでれば何ら問題はないかもしれないけれど、なかなかそうはいかないのが実情かもしれない。
老いという自然の摂理に伴う現象を、受け入れざるを得ない現実に対する繊細な心情のズレやわだかまり…そのどうしようもない気持ちを掬いあげ、伝わる言葉にすること、行動することの難しさ。時には相手を深くおもう優しさの、ほんの些細な言葉のニュアンスから大きくすれ違ってしまうことも…。
介護の理想と現実、人の重みが静かに大きく横たわるかのような質感のなか、夢でもいいから逢いたい。そんなファンタスティックで痛切な想いがここ、とそこ。を繋ぎとめて、あの頃を取り戻すかのように色とりどりに満たされたおとぎの世界で遊んでいたら、いつしかここ。が、そこ。になって、そこ。があそこ。になってまたここ。に戻っていたりして、まるで終わりのないかくれんぼをしているような不思議な感覚で、わくわくした。帰り際、おじゃましました!と思わず言いたくなりました。