おばあちゃん家のニワオハカ 公演情報 鳥公園「おばあちゃん家のニワオハカ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    イロトリドリの。
    自分たちの親は将来、誰が面倒をみるのか。という素朴な疑問は兄弟姉妹間で綿密に話し合われなくとも生まれた境遇や立場で何となくわかっているものだとおもう。すべての困難を優しさでカヴァーできでれば何ら問題はないかもしれないけれど、なかなかそうはいかないのが実情かもしれない。
    老いという自然の摂理に伴う現象を、受け入れざるを得ない現実に対する繊細な心情のズレやわだかまり…そのどうしようもない気持ちを掬いあげ、伝わる言葉にすること、行動することの難しさ。時には相手を深くおもう優しさの、ほんの些細な言葉のニュアンスから大きくすれ違ってしまうことも…。
    介護の理想と現実、人の重みが静かに大きく横たわるかのような質感のなか、夢でもいいから逢いたい。そんなファンタスティックで痛切な想いがここ、とそこ。を繋ぎとめて、あの頃を取り戻すかのように色とりどりに満たされたおとぎの世界で遊んでいたら、いつしかここ。が、そこ。になって、そこ。があそこ。になってまたここ。に戻っていたりして、まるで終わりのないかくれんぼをしているような不思議な感覚で、わくわくした。帰り際、おじゃましました!と思わず言いたくなりました。

    ネタバレBOX

    門をくぐって玄関で靴を脱いで客人としてお家に通されて、座布団の上に正座をしながら所在なさげにしていたところに家主の声が聞こえたとおもったら、たちまち、あれやこれやとはじまるものだから、どうしたって目が離せなくなってしまいます。

    主な登場人物は3人。
    しっかりもののお姉ちゃん、マイペースな妹、そしておばあちゃん。

    物語は、おばあちゃんが旅立った日の回想と姉妹の現在を主軸に夢のなかで姉妹が出会うおばあちゃんと、おばあちゃんの子どもの頃の記憶や妄想が挿入されます。
    (庭と居間を用いて上手に表現されているため混乱はしません。)

    おばあちゃんの介護をしていたのはお姉ちゃんで、妹はおばあちゃんの葬式の時にすら家に帰ってこなかった。

    ある日、突然帰ってきた妹が夢の中におばあちゃんに出会い、
    そこでお姉ちゃんも知らない真実を知り、ある頼まれ事をされる。
    それを知ったお姉ちゃんと妹のやりとりと、その後に映し出されるおばあちゃんの気持ち。のくだりが秀逸で、誰が悪いわけではないけれど、
    お姉ちゃんの言ったほんの些細なひとことをきっかけに関係性が大きく変わってしまうような、そんなシーンでした。

    まさか黒柳徹子が登場するとは思わなかったので、かなり驚きました。
    (これはおばあちゃんの、素敵な妄想だったのでしょうか。)
    徹子さんのモノマネの完成度もすばらしく、楽しかったのですが、
    エピソードとしては少し散漫だったような・・・。
    おばあちゃんとお母さんを描くシーンがもう少しあってもいいようにおもいました。

    おばあちゃんが学校に通っていた頃のくだりでは望まれない子供はどうしたらいいものか。質問する森さんに回答する先生のとまどい…。
    生命を象徴するたまごの使い方も効果的でした。

    ラストの色あざやかな儀式には、前向きな希望を感じました。

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    2010/03/20 03:21

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