実演鑑賞
満足度★★★
暗闇の中の会話から始まる。二人の子供とお婆さんの声。しかしこのお婆さんの声がおとぎ話の魔法使いのようなわざとらしいダミ声で最初から違和感がある。その後も泣くべきか、怒るべきか、はたまた笑うべきか喜ぶべきか困ってしまう場面が続く。30分以上してようやくこれはファンタジーなのだと気が付いた。そう思って観ればいろいろ合点が行くのだか今度は何が面白いのかが見えなくなる。ううむ何なんだろう。この疑問は観劇後、以下のように氷解する。
作者は「ステージナタリー」「MOTION GALLERY」などでアゴタ・クリストフ『悪童日記』を下敷きにしたと語っている。Wikipediaで『悪童日記』の項目を読むと大きなプロットはほぼそのままに戦時下のハンガリーから現代の日本に設定を変えていることが分かる。したがって不自然に感じる部分が沢山出て来るのは当然である。原作を読んでみると中身はまるで違っているし、この舞台の主題として価値や本質を見抜く力ということがあるので特に原作表記はしていないのだろう。
家の外壁を回すという大技の意味が分からなかったのだが uzさんの「観てきた!」で合点した。日記がめくられて行く(=時間が経って行く)イメージなのだ。しかしゆっくり回すときは良いのだが早く回すとホコリが舞ってスモークをたいたようになる。マスクはむしろこの対策に有効だ。