満足度★★★★
「自我追求」の壮大な人生双六
ジェットコースターのようなペールの人生を双六仕立てで見せていく宮城聡の演出が素晴らしい。「女を侮辱している」と言われてきたというラストシーンも彼なりの解釈で締めくくっている。2日がかりで上演する例もあるという長大な戯曲を約3時間にまとめてある。それでも、ペールに付いていくのは大変で、疲労は激しかった(笑)。この戯曲はイプセン自身、上演を想定せずに書いたそうなので、上演する側も観る側も「とにかく大変!」だと思いました(笑)。戯曲が描かれた時期が日本の明治維新あたりということも踏まえ、宮城はペールに近代日本の姿を重ね合わせ、国家を擬人化して描いている点が興味深い。
本作は、SPACの春の芸術祭でも再演されるので、興味をもたれたかたはそちらでご覧になるとよいと思います。首都圏や静岡近郊のかたなら、期間中、劇場まで週末、日帰り無料送迎バスツアー(片道無料の日もありますが)もありますので。