満足度★★★★★
引き算の魅力が活きた
野村萬斎が最近演じてきたギリシャ悲劇ものや「国盗人」と比べても出色の出来栄えである。前作については、演技に彼の癖が出すぎていたため、私はあまり良いと思わなかったが、本作は、狂言とも共通する「引き算の魅力」が出ている。
萬斎は本作について「表現のうえでは狂言の『き』の字も感じさせないであろうこの演出作が、精神性や視点のうえでは狂言に通じるものが多大であるということは、自分自身でも非常に興味深い結論です」と述べているが、まさにその通りの作品です。余分なものを削ぎ落としながら、見事な構成・演出により、「マクベス」の世界を提示している。彼が狂言師だからこそ、演じ、演出できたと言えよう。
これを海外でも上演したいと思っているそうだが、海外でもきっと高く評価されるにちがいない。「マクベス」はさんざん観ている、あるいは、シェイクスピアは好きじゃない、興味がないというかたにもぜひ観ていただきたいと思う一作である。
2010/03/13 19:55
2010/03/13 01:14
>そうですか。まだ、きゃるさんのネタバレを開けたい衝動を抑えつつ、まだ開けていません。
そう、あけないほうがよいです。
まっさらな状態で先入観なしに感動を味わっていただきたいと思います。
私は「萬斎なら何でも素晴らしい!」という熱烈ファンではありませんが、この「マクベス」は高く評価します。それだけに本業の狂言には注文があるのですが(笑)。