喫茶久瀬 公演情報 文月堂「喫茶久瀬」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    たっぷり!
    古びた喫茶店を舞台に、そこに集う人々の悩みと絆、再生を描く物語。

    「失われたご近所」を描く物語でもあり、そこでは「ここも!? あなたも!?」と驚いてしまうほど誰もが問題とドタバタの種を抱いています。

    あまりにもてんこ盛りなので、そのぶん、せりふまわしや設定、モノの扱いなどに「素直(シンプル)すぎるな」「もうちょっと細部を見せてほしい」と感じる部分もありました。でも、大人になっても決して「オトナ」にはなれない人々の心情をこねくり回さずに描く筆致はむしろ気持ちのよいものとも言えますし、スピーディーで巧みな展開(これは脚本のセンスですよね)と俳優たちの熱演には飽きさせない魅力があり、素直に笑い、楽しめます。

    てんこ盛りなだけにすべてのエピソードを着地させるのには多少時間もかかり……2時間をちょっと超える、その「ちょっと」ぶん、スマートでもよかったかもしれません。この芝居には合わなかったかもしれませんが、敢えて閉じない話があるのも個人的には好きです。


    ネタバレBOX

    いわゆる「アラフォー」の惑いを描くその先にあるのは、決して大仰な成功でも、人一倍の幸せでもありません。登場人物たちは「幸福」へのキーのようなものを手に入れ(触れるくらいで?)、舞台は終わります。

    エピローグに「子どもの誕生」が描かれる(ここ、非常に複雑でナイーブな問題を孕みもしますよね)ことも含め、ある種「ユートピア」的な物語ではあります。でも、いずれにせよ、今ドキの大人のユートピアは「雨降って地固まる」ことのようで。前提として雨は降る。そのこと自体にリアリティを感じもしました。

    会場には過去の作品の舞台写真がさりげなく展示されていました。初めて観る者にとっては興味深く、イメージも広がります。こんなところにもカンパニーの気持ちよさは宿っているのですね。










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    2010/03/10 10:29

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