昆虫大戦争 公演情報 こゆび侍「昆虫大戦争」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    昆虫の世界だから見えるもの
    間違いなく昆虫の物語ではあるのですが、
    そこからふっと今の世界が浮き彫りになって・・・。

    次第に閉じ込められ
    ずっとその緊張感に締め付けられながら
    見てしまいました。

    ネタバレBOX

    場内超満員。
    どう考えても小さな会場。

    しかし、
    冒頭の「ツァラトウストラはかく語りき」の表現に
    ふっと狭さを忘れるほどの力があって。
    歓喜の表現から続くものがたりにすっと導かれる。

    物語は、
    まごうことなき昆虫というかフンコロガシのものなのですが、
    でも、生態研究のようなイメージはほとんどなく
    むしろ擬虫化されたとある国の日常のようなものが
    浮かび上がってきます。

    たとえば、テロが横行し、
    死や暴力が常に隣り合わせにあるような場所。
    「標本される」という不安に常に苛まれて、
    サイレンが響き渡るほどに空気が凍って・・・。

    その中で、自らが生きる意味を問い掛けたり
    命を繋ぐことにその身をささげたり・・・。
    でも日常がそこにあること。
    拒食になりながら、理想を想う姿に
    ふっとうなずいてしまうような説得力があって。

    ファーブルの正義が
    虫たちの運命や生活を揺さぶっていくあたりに
    ぞくっとするような世界の縮図を感じ、
    フンコロガシに置き換えられて
    初めて浮かんでくる今に目を見開いてしまう。

    そして、その終末まで、ずっと穴の中に存在する
    日々の生活観に、
    世界のいろんなシーンで生きている人々の
    その場所では特別でない感覚に思いを馳せてしまう。

    常に緊張状態に置かれた人々の感情の起伏など
    若干強さが勝ってしまうような表現の平板さを感じたりもするのですが、
    逆にその平板さがあるからこそ、
    観る側に深い印象がやってくる部分もあって。

    小さな会場にがっつりの密度、
    その強さが、しなやかに舞台の臨場感を高めていて。

    ほんと、したたかで見応えある作品だったと思います。


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    2010/03/08 15:29

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