実演鑑賞
満足度★★★★★
めちゃくちゃ好き。
これぞ大熊作品、の要素がてんこ盛りで、まさに壱劇屋のベストアルバム。
複雑さとわかりやすさのバランスが良く、量子論との絡みも劇中に語られる内容だけ知っていても楽しめるし、もっと深く知っていれば掘り下げて「じゃあこれは?」と思考が広がっていくし、要素の取り込み方と出し方の塩梅が良い。
そのストーリーのバランスの良さ × 多彩なパフォーマンス × 音と光の洪水、すべてがスクラム組んで壱劇屋の世にも奇妙なエンターテイメントに引き込んでくる。
目覚めを繰り返すミステリー…というアオリ文句がシンプルでその通りだと思う。
奇妙な錯綜とともに駆け抜けていく疾走感もあって、ただ繰り返すだけではない、趣向と意味を凝らしたループものSFエンタメ。
廃墟・治験など、要素要素は少し不気味な面もありつつ、ぶっ飛んだキャラクターはいるものの全員「愚か」ではない安心感があるし、全体的にクールで、それでいて高揚感も押し寄せてくる…
バランス感や劇の波への乗らせ方が本当に心地よくて、中毒性がある。
選出テーマや台詞が絶妙に生活に隣接…がっつり絡むほどではないが隣接していて、あんなに奇妙な空間時間だったのにふとした時にあの世界がふと隣に湧いてくるように感じるのも好きなところ。
まっすぐなゲームや冒険感をアングラ的劇薬オブラートで包んだような、初見はたまげるかもしれないが、非常にバランスが取れていてとても好きだし、エンタメ好きにはお勧めしたい。
またこういう作品も観たい!