実演鑑賞
満足度★★★★★
老若男女のあらゆる「つよさ」が詰め込まれていて、とても好きな作品。
男も女も関係なく、生きるため殺すために泥臭く剣を振るう姿がいとおしく、かっこいい。
旗の演出もお話に合っているし、あの狭い劇場でたくさんの旗が振られることにびっくりしたし、でも迫力だけじゃなくて音や風を客席でも感じることが出来て、これぞ演劇のだいご味!を浴びることが出来て嬉しかった。
はじめはアニメ映画のようなOPから理不尽さに放り込まれて主人公と同じように戸惑ったり辛くなったりするが、そこから主人公とお付き女官、少しすれ違っていた妹と、戦うことについて素人から手練れへ変化していくシーンがかっこよく、またその中で心の距離も近づいていく様子が描かれていてお気に入りのシーン。
ストーリーとしては王道的でわかりやすいが、動乱や陰謀に巻き込まれて目まぐるしく・それでいて置いてけぼりにならない疾走感もあって、その中でドキドキハラハラできる緩急があって良い。
また、個性的で魅力的なキャラクターばかりで、それが各役者さんに合っているのか「そこにいる」感が強くて思わずお話にのめりこんでしまう。
この作品の主人公はそのとおり映画や漫画のように稀有な体験をして稀有な結末を迎えているけど、不思議と遠い存在には感じない。
困難を乗り越えていく姿を主人公の視点を軸に見せてくれているから、どうしても応援したくなってしまうし、隣に並び立ちたいと思ってしまうし、そのふんじばって乗り越えていく姿が心に残っていて、劇を離れても勇気をくれる存在になっている。
独立作品5連続上演、の一作目としてふさわしいお話だと思うし、主人公だと思う。
「ワードレス殺陣芝居」、観客の想像力が信頼されていることが舞台上での表現でわかって嬉しい。
台詞が無いものの、しっかり伝えてくれる芝居をしてくれていて、かつスムーズに受け取れる演出になっているので、台詞がある芝居と同じ程度の「これは今どういう心情なんだろう」「今何が起こってるんだ!?」のライブ感で味わうことができる。
「台詞が無い」ことは特徴的ではあるが、割と些細なことであると思う。
体験すればわかるが、体験しないとわからない…のが難点…けど、ミュージカルも「台詞ではなく歌で表現」だし、昨今人気のサイレントアニメやサイレント漫画もあるので、言われてみれば実は言葉じゃないところですでに表現を受け取っていたりすると思うので、「ワードレス殺陣芝居」がもっとエンタメとして体験されてほしいなあ…と思う。