獄中蛮歌 公演情報 生きることから逃げないために、あの日僕らは逃げ出した「獄中蛮歌」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    面白い、パワフルな公演で、その熱量に圧倒される。
    「生きることから逃げないために、あの日僕らは逃げ出した」は逆説的な言葉にすることで、現状打破を試みる力強いメッセージ性を発している。勿論、監獄からの脱走は比喩であり、その獄中とは慣れ親しんだ居心地の良い環境(場所)、もしくは忸怩たる思い…そう自分のことだ。現状(維持)か反発(刷新)か、7人の葛藤を熱い語り掛けで(ラップを踏むように)展開していく。劇中、何回も繰り返す「脱獄しよるときさ 誰か俺の服 引っ張ってなかった?」は”葛藤”を表す台詞として実に印象的であった。

    この7人は時代や置かれた状況は区々で、一人ひとりに負わせた問題や課題によって 普遍的とも思える味わい深い内容に仕上がっている。鉄格子前後で、行くのか留まるのか、その揺れ動く心情を熱く激しく ぶつける様な演技は汗だく。しかし不思議と清々しさを感じてしまう。満員の会場は、外の極寒とは対照的に異様な熱気に包まれていた。

    メッセージ、そのテーマは一人ひとりの内なる「叫び」であり、それまでの生き様ーー未練・後悔・トラウマといった自分自身に囚われた牢獄(呪縛)から脱することを意としている。それを外見の奇抜さ、白塗り化粧の顔、横縞の囚人服といったインパクトある観せ方で観客の関心を引き、一気にその世界観へ誘う。

    生バンドーーギター、ピアノ、ドラムが観客の心を激しく揺さぶる。役者の大声(叫び)と共鳴するようで、地の底から唸るような声と音のコラボレーションは迫力があり圧倒される。勿論、バンドメンバーは化粧も衣装も同じ、ただ鉄格子の中にいることだけが異なる。この公演はライブハウスという場所でないと、その効果的な観(魅)せ方が出来ないのではないだろうか。そこに何となくコアなファンだけの<公演>になっているようで勿体なさを感じる。
    (上演時間1時間50分 途中休憩なし)

    0

    2022/12/30 00:35

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大