満足度★★
5W1H
役者に台本の8割を委ねる逆順創作法という方法論は面白いし、ぜひこれからもチャレンジしてもらいたいが、作品として現段階では残念ながらまだ金を取って観客に見せるレベルにまでは至っていない印象。
少なくとも台本がある部分とない部分が歴然と判別できてしまった時点で、方法論への甘えが見えてしまっていたように思う。
ひたすら熱っぽく「考えろ」としか言わない主人公や、舞台としての変な間を埋めようとする無意味な5W1H。途端に遅くなる進行。
言いやすく耳あたりの良いどこかで聞いたような台詞ばかりが飛び交い、せっかく台本部分で築いたキャラクターや背景がぱったりと見えなくなる。その浅さを覆い隠すように大声や勢いで張り合う様も観ていて喧しかった。
躍動感のあるダンスや身体表現は個人的に好みの部類で、台本が用意されていた部分には少なからず魅力を感じただけに残念。
この手法で安定した上質の演劇が提供されるには、世界構築の入念な共有と、役者個人個人の演劇表現力の向上が必須課題だろう。
次回に期待。