ビリビリHAPPY 公演情報 突劇金魚「ビリビリHAPPY」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    デフォルメされているのに瑞々しい
    ストーリーを追うというよりは
    個々のシーンから溢れる瑞々しさに
    ぐいぐいと引っ張られました。

    デフォルメが効いているのに、
    不思議なことに、
    とても率直な想いの描写に感じたことでした。

    ネタバレBOX

    最初のうちは、誰の物語かということに、少し戸惑ったのですが、
    舞台上から溢れてくる豊かな印象に目を奪われているうちに
    どんどん引き込まれて・・・。
    やがて舞台全体に
    ひとりの女性の内心に浮かぶものが
    次々に映し出されていることに思い当たったあたりから
    一気に表現の豊かさに浸潤されました。

    個々のシーンからやってくる
    女性の様々な想いは
    時には軽快に、或いは深い示唆を織り込んでデフォルメされていて・・・。
    元ネタになる事象はきっと息を呑むほどに生々しいのですが
    それが一度広げられて
    ゆっくりと心の中で咀嚼されて
    彼女自身が受容しうる質感にまで
    変容を遂げた上で渡される。
    膨らんだ夢や、訪れた出来事や、現れた想いが、
    諦観や慰安や希望を混ぜた絵具で
    自らが受け入れる色や形に塗り替えられて、
    描かれていくのです。

    電気屋の原風景や妹のこと、感情という動物の進化、
    駄目男との愛の暮らし、ルーティンワーク、
    美しいままで剥製となることへの賛美とためらい・・・。
    それらの間から顔を出す
    余計なことには首をつっこまないという処世術・・・

    その積み重ねの先から
    特別ではない、どこか内向的なひとりの女性が
    去来するエピソードが並べられた時系列の線上で、
    砂漠を歩みつづけるその瑞々しさが
    まっすぐに伝わってきて圧倒される。

    観終わって、一人の女性の今が
    手の中にのこったような感じに
    この舞台の秀逸さを悟ったことでした。

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    2010/02/24 11:47

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