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わたしたちは無傷な別人であるのか?
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公演情報
チェルフィッチュ「
わたしたちは無傷な別人であるのか?
」の観てきた!クチコミとコメント
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マリンバ(243)
八月の2日間
上演時間は約100分。
ネタバレBOX
2009年8月30日(日)には衆議院選挙があった。その前日、入居予定の高層マンションを道端で眺める一人の男。幸せな境遇であることが何度も強調される。帰宅後は訪ねてきた妻の女友達を夫婦でもてなす。一方、夫の留守中、引越し前の彼のマンションには、不幸の象徴のような男が訪ねてくるが、その言動は実在の人物というよりも、いまの幸せな境遇にふと不安を覚えた妻の脳裏に浮かぶ妄想のように思える。そしてそんな不安もソファの上で夫と体を重ねることで薄らいでいく。
チェルフィッチュのこの芝居では、凶悪な犯罪は起こらない。帰宅途中の夫がバス停でバスを待つ間に、前の男のヘッドフォンから音がもれているのを聞いて言い知れぬ苛立ちを覚える程度。ただ、作品全体をうっすらと包む暑い夏、貧富の差というモチーフからは黒澤明監督の映画「天国と地獄」を連想したし、夏の日差しの中に潜む不穏さは、通り魔的な殺意を太陽が喚起するカミュの「異邦人」のようでもある。
話の内容を簡単に、自分勝手にまとめてみたが、芝居の語り口はまさに岡田節というか、チェルフィッチュ独特。親密な男女のやり取りと社会の空気を対比させる描き方が「三月の5日間」に似ていなくもない。ただ、三月のほうは台詞が饒舌なくらいだったのに対して、八月のほうはだいぶ削ぎ落とされている。そのせいだろうか、あるいは来月に会場を横浜美術館に移して上演を続けるせいだろうか、作品の雰囲気が平田オリザの「東京ノート」に近くなったような気がする。少なくとも三月よりは八月のほうが。
出演者は男3女4の合計7名。男のほうの登場人物は一応人数的には合っているが、それでも一人一役に固定されてはいない。一方、女のほうは、出演者4人に対して、登場人物は2人だけ。役と役者のシャッフル具合にチェルフィッチュらしさが感じられる。女2人が退場する際、2人のあとにさらに別の2人がついていく場面が終盤にあって、そこが妙にユーモラスだった。
役者の出入りは舞台奥の二つの出入り口よりも、客席後方上手側の出入り口を主に使っていた。そして役者の入退場にも独特の間があった。
モノローグ的な台詞が比較的多いので、役者がしゃべりだすタイミングを決めるとき、その選択の幅がダイアローグよりもかなり大きいのではないかとも思った。
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2010/02/21 01:20
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