2222年の雨宿り 公演情報 The Stone Age ブライアント「2222年の雨宿り」の観てきた!クチコミとコメント

  • 映像鑑賞

    満足度★★★

    タイトルとフライヤーが物語の概観を如実に表している。物語の世界は今から200年後の2222年だが、フライヤーはノスタルジーを感じさせる たばこ屋である。実際の舞台美術も同じような家を設え、「雨宿り館」という看板が掲げられている。しかし未来と過去を繋ぐ または往還するというよりは、その場の状況と主人公の謎めいた心情が中心に描かれている。

    物語の設定が微妙で、観客の想像または感性といった”力”によって受け止め方、捉え方が違ってくる作品だろう。直截的には何の変哲もない200年後の話であるが、そうなった原因等を今もしくは近い将来の出来事に置き換えたら少し怖い。
    (上演時間1時間30分 途中休憩なし)22.12.6追記

    ネタバレBOX

    舞台美術は、中央から下手にかけて「雨宿り館」という看板を掲げた家。自転車、たばこショーケースなど細かく作り込んでいる。上手にはベンチや立体的なグリーンゾーンがある。ここは西暦2222年の火星、地球から移住を始めて100年近く経った頃である。かつて地球に存在していた建物・乗り物・生き物などを復元した「万博2222」が開催されている。この「雨宿り館」もパビリオンの1つ。

    さて1970年に万博(大阪)が開催され、それから55年後の2025年に再び大阪で万博を開催しようとしている。そのテーマが「いのち輝く 未来社会のデザイン」であるという。物語では、地球に隕石が雨のように落下し命の危険に晒されていた。母は娘・四葉(外村道子サン)を火星に移住させ離れ離れになった。あれから100年、141歳の四葉は母を置き去りにした悔悟の念であろうか、記憶を無くしていた。そして記憶の種火のような「雨」を求めて…。それが説明にある「遠すぎる日に地球で見た”雨の日の思い出”を探すために」である。

    火星にも隕石が落下するようになり、全体をドームシェルターで覆っているから雨が降ることはない。この「雨宿り館」は過去の万博パビリオンの復元だから、人工的に降水させている。さて隕石を現代的な問題・・自然環境破壊であり 直接的にはオゾン層破壊に読み替えると、容易に人間や動植物への悪影響を連想しぞっとする。因みに、隕石が落下するが、必ずしもサイエンス フィクションではない。
    表層的には地球への郷愁、母への追慕といった情感が描かれているが、その前提となっているのが地球への隕石落下⇒火星移住は環境破壊という現状の危惧を表している。そして 自然保護を四葉が、火星で生育させている赤い四葉のクローバーに象徴させる。

    火星では、全員色違いであるがツナギ服や鬘姿である。外見から異星を表すことで可笑しみの中に違和感を漂わす。舞台美術は懐古的な雰囲気をしっかり出し、隕石という言葉で 物語の世界をある程度形作り上げる。そこから想像力を働かせてということは難しかった。見た目の世界観に飲み込まれてしまい、坦々とした日常しか感じられなかったのが、残念。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2022/12/03 13:00

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