夜明けの寄り鯨 公演情報 新国立劇場「夜明けの寄り鯨」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    気鋭の劇作家・横山拓也が新国立劇場初登場。演出は初めて見る人だが、いつもの横山作品と比べると、過去と現在をシームレスに語る作劇術が目新しい。その両側を一人だけ行き来する三桑(みく、小島聖)の、はかなげな、思いつめた風情が、何か不穏で謎めいた空気を醸す。過去の、アウティングを含む、互いを意図せずに傷つけてしまう場面を、元鯨トレーナーの相野(池岡亮介)が見つめている。この存在が、客観性を担保し、冷静さを保たてさせる。

    床には鯨の泳ぐ海原が描かれ、それを、舞台上に斜めにかかった鏡を通してみることができる。

    ネタバレBOX

    ヤマモト(小久保寿人)への告白が、その後の展開の発火点になるが、ミクがなぜヤマモトにひかれたのかがよくわからない。ヤマモトはおとなしい友達もいないタイプなのに、なぜ?と。「他に好きな人がいる」と振られたミクが、なぜヤマモトが好きな相手は男では、と邪推に走っていくのか? その辺も少々強引な気がした。小島聖の落ち着いた雰囲気とのギャップもあって、ちょっと乗りづらかった。

    これが、軽薄なほどおしゃべりな景子(森川由樹)なら、笑いとともに乗っていける気がする。実際、拡散するのは景子なのだが。

    鯨肉を知らずに食べさせられたことから、アンチ捕鯨のボルテージを上げていく紗里(岡崎さつき)の、いかにも思い込みの強い、吊り上がった目つきも怖かった。

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    2022/12/03 00:14

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