ASAKUSA THUNDER GATE 公演情報 妖精大図鑑「ASAKUSA THUNDER GATE」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    公演(劇中 台詞)をリスペクトすると「覚えていない」と…。それだけ楽しめたということ。
    物語は、異星から地球のライヴを見に来るまでのトラベルファンタジーといった内容で、妖精大図鑑らしいエキセントリックセンチメンタル公演であった。

    当日パンフによると天の川銀河の一角にて前口上、そしてオープニングからエピローグ 観察者たち まで23のシーンで繋いでいるらしいが、観ている時にはそんなことは意識しない。何しろ観客をも巻き込んで実際のライヴ感覚を共有させるから、思わず楽しんでしまう。全体的にポップな感じであるが、多くのダンスシーンは一見クラシック・ダンスのように思えるが、足元を見れば床に足裏をしっかりつけて力強い。

    「ASAKUSA THUNDER GATE」へ向けての搭乗アナウンス、会場自体が宇宙船で観客も旅行客の一員である、そんな錯覚を覚える。スクリーン映像で旅行(観光)案内を分かり易く見せる。そして楽しんでもらえるよう、心を込めて急発進すると…。カラフル衣装が飛び跳ね、回転し といった鮮やかな世界へ誘ってくれる。
    (上演時間1時間25分)22.11.28追記

    ネタバレBOX

    舞台は中央奥にスクリーンがあるだけ。そこに宇宙空間の仕組みやこれから展開する物語(旅行)の概要が映される。

    物語の表層は、地球で開催されるライヴのチケットが当たり、地球へ遠征し会った事のない友達と待ち合わせをし、ライヴを観る迄の話。宇宙人が地球のそれも日本の浅草に現れる。友達は雷門の風神という奇抜な設定。何となく異文明・文化といった違いを超えた友情を思わせる。勿論、異星人と雷神という人ではないが、そこにはライヴを楽しむという共通の目的がある。そしてチケットを忘れるという失態を色んな形でフォローしてもらい…。壮大な宇宙空間の中に、身近な問題を引き寄せて観せているように感じた。
    ちなみに 入り口でサイリウムライトを渡され、役者・観客が一体となって公演を盛り上げる、そんな趣向も楽しかった。

    妖精大図鑑の公演の魅力は、現実離れした設定ゆえに、観客が自由に想像力を膨らませることが出来る。自分が思い描いた世界は、コロナ禍における観光事業…インバウンド〈問題〉を連想してしまう。
    コロナ禍で外国人観光客の受け入れは制限してきた。同時に外国人も日本への観光を自粛していたかも知れない。外国人観光客にとって「浅草」は日本の一大観光名所になっている。勿論、日本と諸外国との異文化、違う母国語での友情の育み、物語からはそんな“今”が見えてくるようだ。

    今までの公演は、比較的小さい劇場での上演が多かったと思うが、それらに比べると九劇は大き(広)い。そして描く場所を意識している。十周年 新作単独公演と銘打った内容は、従来のダンスパフォーマンスという観せ方、そこに映像を活用した目先の新鮮さ、そして分り易さを加えている。ミラーボールを使った星空、一方 丸提灯という風情ある小道具を併用し観(魅)せる。

    特筆すべきは、計算しつくした身体表現で魅了する。ソロまたはアンサンブルという形は変わるが、全ての動きに意味があるように思わせるところが上手い。そしてダイナミックに繊細にという動きが色々な感情を表現しており、キャスト(ダンサー)達はシーンに応じた感性を知覚して踊っているかのようだ。
    次回公演も楽しみにしております。

    0

    2022/11/27 07:24

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大