実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2022/11/25 (金) 14:00
座席1階
佐々木蔵之介の怪演ばかりが前面に出た印象だ。モリエールの戯曲をルーマニアの演出家プルカレーテ氏が「圧倒的演劇的魅力」で舞台化したとのうたい文句だ。確かに、舞台美術はちょっと一風変わったステージだった。しかし、物語としては今ひとつだった。
とにかくカネに汚いというか、がめついお屋敷の主が主人公。娘の結婚もカネ絡みで強要するちょっと考えられないおやじだ。プルカレーテ氏はパンフレットで「そういう彼を哀れむべきなのか」と投げかけているが、やはり少し現実離れしている物語は自分にはなかなか響かなかった。これはプレカレーテ氏の責任ではないのだが。まあ、400年も前に作られた古典なのだから、文句を言っても仕方がない。
だが、結局、守銭奴は守銭奴のままだというのは、やっぱり響かない。物語を追うというよりは、佐々木蔵之介が仙人おやじのようなメークと出で立ちで舞台を縦横無尽に動き回るところがやはり、最大の見どころだ。演出家の注文に、日本を代表する俳優がきっちり応えたということだろう。