実演鑑賞
満足度★★★★
在宅医療、終末期医療を取り扱ったヒューマンドラマーー現代医学では治療見込みのない患者と向き合っている。原作は医師・南杏子女史の「サイレント・ブレス 看取りのカルテ」で、彼女の実体験であるから現場リアリティがあり、説得(納得)力もある。脚本・田中千寿江さん、演出・奥嶋広太さん。
主人公は大学病院での勤務継続を望んでいたが、恩師であろう大学教授から これからは在宅医療の重要性を説かれ、都下のクリニックで働くことになった。そこで出会う患者、そして実父の看取りを経験することで、理屈ではなく実感として在宅医療の大切なことを知る という成長譚でもある。
表層的には等身大の女医そして娘の姿は描かれていると思うが、心の奥底にある人間そして医師としてのリアルな不安や迷い、悲しみや情熱といった様々な思いが弱いように感じられた。どちらかと言えば、客観的に描き きれいにまとめたような印象を持った。
(上演時間2時間10分 途中休憩10分)