北枕動物園へようこそ 公演情報 K.B.S.Project「北枕動物園へようこそ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    次回を期待しています すみません
    「北枕動物園へようこそ」 高田馬場ラビネストこけら落とし公演 K.B.S.Project
    1月30日 14時の部

     新しい劇場のこけら落とし、しかも初日、最初の時間帯です。縁起がいいですね。

     内容は、「かわいそうなゾウ」の大人版といったもの。
     軍の理不尽な命令により、動物は処分され、そこで働く人たちは引き裂かれ、多くが殺されていく、といった「重い」テーマを持った劇です。社会性のあるテーマに、大いに期待して会場に足を運びました。

    さて劇について。残念ながら、見終わって「満足した」とは言い難いものでした。
     一言で言うと、「浸れない」のです。それはどこから来ているか、考えてみると、次の4点になるかなと思います。

     ① 下ネタを入れる必然性。重いテーマの劇の中であっても笑いを入れて、所謂「緩急をつける」ことを否定するものではありません。ただ、それは「どこに入れるか」が大事な要素であると思うのです。あまり詳細に例示すると「ネタばらし」になるので、一例だけ。園長の娘が、事務所の園長の椅子に座り、「さなえちゃ~ん、あとで寝ようね」(女性事務員の椅子に向かって)「結婚しないと、蜘蛛の巣が張るよ」(すみません、正確なセリフではありませんが)と言う前後二度の場面。会場は誰一人として笑っていませんでした。別のセリフに替えたほうが、より効果的だったのかなあと思いました。計算尽くで挿入したとも思えるのですが、私には効果がなかったと思いました。

     ② ストーリーの急展開について。終盤で突然、実は~として、「工作員」「実の子」(こんな程度の最小限の表現にしました)が出てきますが、それまでの「リアル性」からアクションドラマ風にと展開を急ぐものとなってきます。とりわけ、前者については、この劇の中に盛り込まないでも、十分に「見せる」ものになったのにと、残念に感じました。

     ③ ②とも関連していますが、たくさんの銃殺場面について。最後に園長の娘だけにする設定のために、と考えて、登場人物を「抹殺」していったのでしょうが、これも私には「安易な方法」「逃げ」と感じました。上演時間との戦いといった側面も否定しませんが、もっともっと人物を生かしながら、それでいてそれぞれの苦渋を表現できる台本に練り上げてほしかったと思います。

     ④ 役者さんについて。若い人が多い劇団です。ですから、「飯島さん」のように、比較的安心して見られる役者と、「ちょっと無理があるかな」という役者との差が大きかったようです。限られた人数の中で配役を決めるのですから、その点しかたないと思うのですが、それは今後の可能性のある課題として。ただ一つ言えることは、役者の一人一人を見ていると、みなさんかなり個性的な(個性的になる)可能性を持った原石ばかりだったと思います。このスタッフで、例えば宮本輝の「夢見通りの~」、三浦しをんの「まほろ駅前多田便利軒」のような市井のものを上演すると面白いかもとも思いました。

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    2010/01/31 10:16

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