【ご来場ありがとうございました!】あのひとたちのリサイタル 公演情報 FUKAIPRODUCE羽衣「【ご来場ありがとうございました!】あのひとたちのリサイタル」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    トラムを制した羽衣!
     シアタートラムが有望な若手劇団を発掘する企画シアタートラムネクスト・ジェネレーションvol2に選ばれての公演。いつもより一回り大きなステージだが、見事に使い切った。
    今回も、作・演出・音楽・振付・美術を一手に担当する糸井幸之介、どれだけ才能があるのかとあらためて感心した。

     今年はこの後、東京芸術劇場で2週間の公演、その後、小さめの劇場で1カ月公演なども企画しているらしく、羽衣にとってまさに飛翔のきっかけになる年だが、そのスタートを切る公演として、劇団がいかにこの公演に賭けているかがひしひしと伝わってきた。間違いなく、今回の公演、FUKAIPRODUCE羽衣の代表作として評価されることだろう。

     役者では伊藤昌子、藤一平というベテラン勢が光った。伊藤昌子の体を張ったコミカルな動きと、藤一平の哀切たっぷりのセリフの確かさ(そして声がいい)、それに二人とも歌がうまいのだ。

     鯉和鮎美の演技は相変わらずかわいらしく、この劇団のかわいさ部門を一手に引き受けているが、声はハスキーで(セクシーで)そちらにもしびれた。また召田実子の軽快な動きも新鮮で素敵だった。なかなかあの動きは出来ない。貴重な役者だ。

     シアタートラムに立ち見まで出るほどの活況。前説にさえ拍手がわくほどの盛り上がりで、終始観客を味方につけていた。二日で終わってしまうのがもったいないくらいだ。

    ネタバレBOX

     物語は暗闇の中からスタートする。この暗闇意外と長いのだが、とても想像力をかきたてられる。そして最初に舞台上に明かりが当たったとき、夜明けのようにステージが光り輝いてみえた。

     舞台は芸術家のアトリエからスタートする。舞台装置の全てが今回アートであり、背景で糸井が書き続けることも、また日高啓介が走り続けることさえ、アートであると感じた。そして、春夏秋冬、人間の生死、戦争と平和、そして芸術論に至るまで、象徴的に展開される。糸井幸之介のセリフは全編詩であり、それゆえ、繰り返しが多用され、繰り返しのリズムの中で心地よくこちらの胸に突き刺さってくる。

     前回の羽衣の芝居を私はシャーマニズムであり、豊穣の祭りだと感じたが、今回は神話だと思った。今回繰り広げられたのは、古事記や日本書紀のような神々の物語ではないのか。そう思った瞬間、糸井幸之介が愛の営みにこだわる理由がわかったような気がした。それはまさに神話そのものだからだ。

     舞台が広いためか、暗転にやや時間がかかった。それだけが気になった。それと、私の好きな役者高橋義和の活躍の場が少なかったような・・・。
    それ以外は満足。

    0

    2010/01/31 01:41

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大