『F』 公演情報 青年団リンク 二騎の会「 『F』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    FはSFのF?
    設定はSFだけど、中身はしっとりと情感を湛えた二人芝居。現代口語演劇による静かなサイエンスファンタジーと呼びたい。

    ネタバレBOX

    舞台中央に大きなベッドが一つ。下手にブランコ。
    貧富の差がまるで身分制度のようになってしまった未来社会。貧困層出身の娘は新薬開発の実験台に志願することで、貧しい暮らしから脱出しようとする。
    個室と身の回りの世話をする人間型ロボットが与えられて、薬の効果を調べるための投薬が続けられる日々。世話役であるその男性型アンドロイド(多田淳之介)と娘(端田新菜)の交流を、春夏秋冬、4つの場面で描いた二人芝居。上演時間は100分ほど。

    多田の序盤でのしゃべり方はいかにもロボットふうで、台詞の間もかなり機械的。これでずっと通すのを見るのは辛いなと思っていたら、さいわいアンドロイドには言語モードの切り替え機能がついているようで、まもなく娘の指図に従って現代口語的なしゃべりに変わった。

    芝居の設定でちょっとわかりにくかった点がひとつ。それは娘が新薬開発の実験台になる際、もともとその病気にかかっていたのか、それとも自ら進んでその病気に感染したのかということ。もし後者だとしたらずいぶん無茶なことをしたものだと思う。

    SF好きな人にはおなじみの展開だと思うが、人間的な感情を理解できないはずのロボットが徐々に学習能力を発揮して、やがてその人間にとって欠くことのできない存在になっていく。
    春は花見、夏は浴衣を着ての花火大会、食欲旺盛な秋は食事をしながら小さい秋を謳歌し、冬にはクリスマスツリーを飾る。しかし結局は、効果的な薬を作ることができず、彼女は病に倒れる。

    季節の変わり目では、役者たちの衣裳替えをそのまま舞台上で見せていたのが面白い演出。イッセー尾形の舞台を彷彿とさせた。

    アンドロイド役の多田の場合、台詞をとちるとアンドロイドとしての性能そのものが疑われてしまうので、その辺が演じるうえでのプレッシャーではないかと思うのだが、この日の演技はほぼ完璧だった。

    病に冒される端田の場合は、五反田団の「いやむしろわすれて草」でも似たような役を演じているし、こういうのはむしろ得意分野かもしれない。

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    2010/01/31 00:43

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