The Stone Age ブライアント『胸に突き刺さった5時43分21秒』 公演情報 The Stone Age ブライアント「The Stone Age ブライアント『胸に突き刺さった5時43分21秒』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    夢は叶わないかもしれないけれど・・・
    夢を叶えるのはごく僅かの限られた人だけで夢を追い続けるには犠牲が伴うもの。しかも夢と挫折は隣り合わせで一瞬でも気を抜くと挫折側へ即刻ゴーアウト。人生とは常にへヴィーな代物であります。
    「何事もあきらめが肝心。」
    多くの大人たちはいつしか我が身にそう言い聞かせ、身の丈にあった生き方へシフトチェンジしていきます。そして、これでよかったんだ・・・とひと知れず呟くのです。

    この物語の主人公は無様なほどがむしゃらに無謀な夢を追いかけます。
    笑われたり、罵られたり、悔しい思いを沢山しながらも諦めないで立ち向かう姿は私たちがいつしか無関心になってしまった情熱を確かに教えてくれました。どうやら、可能性がゼロでない限り挑戦する価値があるようです、人生は。

    ネタバレBOX

    大石、35歳。旧型タイムマシン学校10年生。この春、通っている学校が新型タイムマシン学校の建設により廃校が決定した。今度こそ卒業試験をパス出来るのであろうか・・・?
    結末を確かめてきてほしい、と校長先生に頼まれた同級生3人は一ヶ月後の未来へワープ&ジャーンプ。そこで見たのは誰も知らない大石の姿だった・・・。

    学校近くのUFO公園で卒業試験に向けて自主トレに励む大石に教官は、オマエはいつも言い訳してばかりでどうせダメなんだからいい加減、諦めるよう説得するが大石は10年前のアノ事さえなければ今頃、立派なパイロットとして活躍していたに違いない、と確信しているため受け入れられない。

    かつて大石に助けてもらったり、励ましてもらったりした3人は弱気な大石の姿にショックを隠せないが、100分の1の確率でしか成功しないであろうサイアクな条件の試験に向けて頑張るひたむきな大石にエールを送ることを決意。この声が大石の耳には聞こえないとわかっていても励まし続ける。
    そして運命の時・・・。奇跡は起きた!?

    二転三転し、永遠に完成しないパズルのように謎が残る歯切れの悪い、けれど観たひとがこれまでの生き方によって、捉え方が全く異なってくるようなラストの描き方がとても秀逸。
    (あの時見た光景が夢か錯覚でこの先決して訪れない未来だったとしても、希望のある方を、出来ればまだ信じていたい、とおもった。)

    タイムマシンの技術が発展途上にあるため、一ヶ月後先の未来までしか行けないという設定も斬新で、舞台照明をタイムマシンに見立てたぐるぐる訓練なる過酷なトレーニング方法は演劇ならではの醍醐味があった。また、ベンチの周りを奇妙なツーステップでくねくね回る独特の動きが妙。そして緑に白いラインが3本入ったダサダサなジャージに汗くさくて人間くさい、未来予知能力ゼロオッサンパイロット訓練生のガッツがすばらしい。シスターたちの大石に捧げた90年代を代表するあの名曲を讃美歌調にアレンジしたアイデアも最高でした。

    しかし彼はどうして10年間もの間留年してまでパイロットになりたかったんだろう。年齢的にもパイロットとして就職するのは厳しそうだし、学費だってすごい掛かっていそうだ。それに過去にしか行けないタイムマシンの操縦方法しか知らないパイロットなんて将来的に必要とされるのか疑問だ。ひょっとして、夢を追いつづけること自体が彼の夢そのものになっていったのではないだろうか。それとも人生をもう一度、本気でやり直したかいと痛切に思うからこそ真剣なのか。人は未来を描いていくのに、このひとの未来は過去に向かっている。当の本人に悩んでいる暇などはなく、合格しない試験を全うしている・・・。

    そんな愛すべきダメ人間だからこそ校長や教官、シスターらと絡みあうエピソードがもうすこしあったらいいなぁ、という欲も沸いた。たとえば、シスターたちは大石がパイロットになれなかった時のためにジーザスとしてスカウトしてキープしておく(ジーザスクライスト!)、大石と駆け落ち希望のシスター見習いに待ったをかけた校長も実は、大石を自分のものにしたいが為にメカ担当の山下に仕掛けを施して貰い卒業を先送りにしていた。と何故か衝撃的なカミングアウトを聞いてしまった大石ビックリ!卒業試験と恋のバトルで二重の苦しみを味わう・・・等々。

    キャラクターの味付け加減が、特濃で刺激強し。どつきどつかれ、突っ込むスピードが早いはやい。これぞ大阪、本場の笑い!?
    普段見慣れてないので新鮮でした!

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    2010/01/30 06:00

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  • Hell-seeさま
    この度は、ご来場いただきましてありがとうございます。
    コメントありがとうございます。
    たくさんのコメント大変感動いたしました。
    劇団員みなで読みかえしております。
    これからも、どうぞThe Stone Ageブライアントをよろしくお願いいたします。

    2010/01/30 23:54

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