十三月の男 -メメント・モリ- 公演情報 無頼組合「十三月の男 -メメント・モリ- 」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    面白かった!
    前作と打って変わって、おちゃらけた部分がない分、ハードボイルドさが増したように感じた。思えば過去の公演で、白川とくせぽじの下野との絡みが絶妙だったのを思い出して懐かしさを感じた。あれ以上のタッグは無かったのだと気づく。舞台って人々の記憶にいつまでも残るから素晴らしいのだ。。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    詳細は説明に載っているから解り易いと思う。舞台もひじょうにベタな解り易い物語だった。コードネーム・イカロスこと流次郎は自衛隊入隊から、色々経て現在は傭兵部隊に属していた。その間、愛する妻・秋子を失ってしまったが、今でも秋子を忘れられない。秋子は太陽のような女性だった。一方、次郎は月のような男だ。案外、男性って月のような人が多いような気がする。つまり、太陽によって照らされて初めてぼんやりと輝くように・・。

    秋子を失ってから失意の中にいた彼は死を恐れることが無かった。自らも凍血病にかかっていた次郎の元に反政府グループからの依頼がくる。それは政府に対するテロ行為だった。次郎は協力しながらも、組織がだんだん凶暴化していくことに、自らの身の置き所にも疑問を感じていく。そしてかつての妻との生活を思い出しながら、また、星山らと関わりながらも、本来の正義を取り戻していく。こうしてテロ組織と反対の立場に立った次郎は組織からも追い詰められながら、爆弾の藻屑となって消えていくのだが、終盤の流れ星のシーンと、妻・秋子の流れ星の言葉が重なり合って美しいのだ。

    劇中、テロによる復讐の連鎖も登場し、そのシーンの選曲も素晴らしかった。妻を亡くしてから死んだように生きていた次郎の心の機微も繊細に反映され13月の檻から抜け出せない苦悩も見事に表現していたと思う。何より劇中吐かれるセリフの数々が妙に心に響いて感動したのだ。

    赤い血が流れている限り人って何度でもやり直せる。という秋子のどこまでも前向きなキャラクターもいい。酒井の相変わらずのイッチャッテル狂人ぶりぶりが観ていてスカッとしたし、桐生こと長谷川のキャラクターも秀逸だった。とにかく、どのキャラクターもいい意味で秀でてる設定なのだ。桐生が美味しそうないちごにた~っぷりぷりと練乳をかけて頬張るシーンは映画のワンシーンをみてるようで感動。まるで味が無いように食べてるさまは演出なのだろうけれど、この場合、へたを取らないでまるごと食べて欲しいものだった。そのほうがワイルドでしょ?笑
    それでも、こうしたちょっとした演出の詳細さも無頼ならではの見事な演出だ。だから・・・手前で演じてる場面よりも、後ろでの別のワンシーンが気になって仕方が無い。そして今回はその後ろの目立たない演じ方が絶妙だったのだ。

    死ぬまで生きろ!死んだように生きてんじゃねーぞ!
    とセリフる次郎は自分にも言い聞かせるようにして死んだのだ。
    幕引き間際の輝く一つの流れ星はまるで次郎の命のように、瞬間輝きを増してすっと消えたのだった。



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    2010/01/24 11:08

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