インコは黒猫を探す 公演情報 快快「インコは黒猫を探す」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    観る側に立てこまれていく・・・
    さまざまな風景、記憶、会話。
    記憶のあいまいさと確かさ。
    時の流れに変わらないものと変容していくもの。

    それらがまるで魔法のように観客の内側に立てこまれていく。
    そこから醸成される感覚がとてもいとしく思える舞台でした。

    PPDにも瞠目。

    ネタバレBOX

    会場は、エントランスから
    開演前の舞台までいろいろな遊び心に満たされて。
    インコ好きの話を聞きながら開演を待ちます。
    話を聞いているうちに
    なんとなく心がリラックスしていきます。

    宇宙を表す冒頭の言葉の重なり方にまず惹かれて・・・。
    観る側の概念にすっと麻酔をかけられて。

    そこから長原の街やその部屋に至る道のりが
    描かれていくのですが、
    別に舞台に街が立てこまれているわけではないのに
    観客の内心には風景や距離感や空気までもが
    しっかりと作りこまれていくのです。
    相変わらずの八百屋さんや
    以前その部屋を訪れたときにそこにいた黒猫の記憶。
    そして同級生たちが久しぶりに集う部屋。
    シンプルなのにちゃんと生活の香りまであって。
    季節や風の肌触りまで伝わってくる。

    それらの感覚は3年間を隔てた記憶と重なりながら
    さらに立体化していきます。
    インコ達とのかかわりや
    料理を作るという同じ感覚から浮かんでくる
    変わらない気配と変質していくもの。

    役者たちの表現力で
    舞台上の
    洗練とあからさまさと洒脱さと下世話が
    透明感を持った感覚として束ねられていく。
    インコ達が持つ動きや擬人化の切れ味には
    軽さと豊かさがあって。
    買い物の高揚感の目を奪うようなデフォルメ。
    二つの時間の差異から浮かび上がる
    女性の心のナチュラルな揺らぎ。

    いろんな出来事が埋もれ、表されていくなかで醸成される
    その世界や時間の空気が醸し出す質感が、
    とめどなくいとおしく感じられるのです。

    その後のPPDも実に秀逸。

    いくつもの関係のエッセンスが
    洒脱でウィットを持った表現でくっきりと示されて。
    それらの重なりが、
    ボレロの高揚を取り込むように
    一つの空間を作り上げていく姿に息を呑みました。
    おまけなんてとんでもない・・・。
    本編と双璧の極上の表現にわくわくしてしまいました。







    0

    2010/01/23 11:06

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大