実演鑑賞
満足度★★★★★
面白い、お薦め。
死は魂が別の所へ行くだけで、その人を忘れなければ、そんな思いを強く感じさせる公演。劇団水中ランナーが紡ぐ物語は、切ないが同時に温かく優しい気持にさせる。タイトル「花を灯す」は、キクの開花調節を行うため、電照栽培をしている。その光景を近くの丘の上にある公園から眺めながら育った家族、母が、そして父が亡くなり、花農家の経営が行き詰る。思い出が多い家を処分することになり、両親の遺品を整理することになる子供たち。その思いを切々に描くとともに、その家族と親交のあった遺品整理士たちの思い、それぞれの観点から「想い」を描いた秀作。
死、そして遺品整理という「想い」が「重く」なりそうな内容だが、時に笑いを挿入し、ある小道具が沈んだ気持を癒してくれる。脚本は勿論、演出や舞台技術も巧みで、見事な心情描写を観せる。
ちなみに、遺品整理業を営んでいる代表の名前は木村拓哉、有名人と同姓同名であることを揶揄われるが、そこには悲しさ切なさが…。
(上演時間1時間50分 途中休憩なし)