実演鑑賞
満足度★★★★★
引きこもりの子が50を過ぎて、親が80になり、自分の死後の子供が心配ー80−50問題が軸。50過ぎた姉が引きこもる原因となった中学時代の演劇に、現在の20代の孫娘の演劇活動がつながる。宮沢賢治の「猫の事務所」に日系ブラジル人へのいじめ問題も重ねるという、重層的な構造の芝居だ。横山拓哉らしい快調でユーモアのある会話のやり取りから、次第に、かつての演劇活動で何があったのか、引きこもりの理由がわかってくる。引きこもるしかない状況に追い込まれた姉が、どうやって外に出るきっかけを掴むのか。こちらの予想の上を行く展開だった。ラストは気持ちのいい解決で、心が暖かくなるいい芝居だった。
いじめを批判したと読める宮沢賢治「猫の事務所」がうまく使われていて、奥行きを増した。私は未読だが、舞台上の説明で、内容はわかった。俳優陣も好演。特に姉を演じた清水直子の中学生ぶりや、やつれた焦燥がよかった。