S高原から 公演情報 三条会「S高原から」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    奔放なビジュアル
    やっぱり5年前の上演作品とはまったく違う演出だった。あのときは4つの劇団が同じ脚本を別演出でやるという企画だったから、舞台装置はほぼ共通ということであまり好き勝手ができなかったのだ。今回は単独だからそれこそやりたい放題にやっている。

    脚本というのは目で読むだけでも内容が理解できるし、朗読されたものを聞くだけでも意味は伝わってくる。
    そう考えると、舞台に装置を作ってそこで役者が登場人物を演じるという視覚的な側面は、あくまでも脚本の内容を理解するうえでは、補助的な役割しかはたしていないのかもしれない。

    そんな理屈を考えてしまうのは、要するに、三条会の芝居では目に飛び込んでくる事柄と、耳に入ってくる内容が大きくずれているってことだ。

    ネタバレBOX

    話の舞台は高原のサナトリウムだが、実際の舞台には学校の教室にあるような椅子と机が並んでいるし、奥にはアルミ製の脚立も置いてある。患者たちの服装は学生服で、看護士たちは背中に羽根を生やしたり、手に鎌を持ったりしている。まるで恋人同士のような兄と妹は異様なテンションでじっと見詰め合っていたかと思うと、身体能力を誇示するようなダンスまがいの動きも見せる。頭に鉢巻をした医者も、まるで出ぞめ式のトビ職人のように、脚立の上でいろんなポーズを決める。別れ話を伝えに来た女友達が見舞いの品として持ってきたのはメロンだが、実際に手に持っているのはミラーボール。しかもその伝言は脚立のてっぺんによじ登った女から、積み上げた机の上に立つ男へと伝えられる。終盤で激しい眠気に襲われた患者の一人は、話しかける仲間の声をよそに、回転するミラーボールの光のなかで立ち上がって体を揺らす。

    こんな調子で、台詞として耳に入ってくる脚本の内容を、舞台上の出来事、役者たちの振る舞いがことごとく裏切っていく。ふざけている、どこが面白いんだ、という人を説得する自信はまったくないけれど、これが三条会の魅力なんだと思わずにはいられない。

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    2010/01/16 23:49

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