藤原さんのドライブ 公演情報 燐光群「藤原さんのドライブ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    1930年岡山県の離島、長島に初の国立療養所「長島愛生園」が誕生。ハンセン病(らい病)患者の隔離施設。患者は子孫を残すことが許されなかった。1943年に治療法が確立されたにも関わらず、島と内地に橋が架かったのは1988年。世界的にも類を見ない日本特有の差別と偏見の日々。

    現代のコロナによる隔離施設を長島に設定し、二つをだぶらせて綴るSF。
    スカイラインを駆り、療養所仲間を乗せて何処までもドライブする藤原(猪熊恒和〈つねかず〉氏)さん。モデルは立花誠一郎氏。スカイラインの大道具が良い出来。二人の人力で動く巨大な台車。
    藤原さんは皆を故郷に連れてってやる。だが、皆実家には帰らない。遠くから懐かしい景色を眺めるだけ。“穢れ”の思想が色濃い日本で、親族に迷惑はかけられない。穢れて棄てられた者達は誰にも見えない場所で隠れて暮らすしかない。

    ネタバレBOX

    面白いとは感じなかった。ハンセン病に絞った方がいい。コロナネタじゃ弱すぎる。現代の社会不適合者、棄民の物語として引っ括めるべき。植松聖のエピソードも意味が無かった。

    未だに決着のつかない日本人のタブー、“心失者”は安楽死させるべきとの植松の提言。
    重度の知的障害のある娘を持つ和光大名誉教授の最首(さいしゅ)悟氏は彼への手紙に『そしてわからないからわかりたい、でも一つわかるといくつもわからないことが増えているのに気づく。すると、しまいにはわからないことだらけに成りはしないか。そうです。人にはどんなにしても、決してわからないことがある。そのことが腑に落ちると、人は穏やかなやさしさに包まれるのではないか。』と綴った。学問の目的は“分かる”ことではなく、“分からない”を知ることだ、と。

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    2022/11/06 22:06

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