光る河 公演情報 てがみ座「光る河」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    テーマは分かるけど...
    大胆な舞台美術、出演者の確かな技術と好演が光っていました。
    ただ、脚本が描き出したいテーマと物語の進行がちぐはぐな感じがして、違和感を感じました。物語の進行を優先するあまりに、個々のキャラクター設定や心理描写が手薄に感じられ、結果として物語全体の存在意義が薄まってしまったように感じられます。
    上演時間2時間強もやはり長いと感じました。

    ネタバレBOX

    【ストーリー】
    ある台風の夜、妻が夫にひき逃げをしてしまった事実を伝える。妻はひき逃げを隠し通す道を選ぶ。マスコミ社員でもある夫は事件現場を独自に調査するという道を選ぶ。浮かび上がってくるのは、ホームレスの少女を行き当たりばったりに殺してしまった福祉局の男。

    【感想】
    まず、ミステリーとして読み解いた場合、二つの事件の犯行動機はあまりにも行き当たりばったりだ。犯人側の悪意に満ちた完全犯罪への隠匿行為は見受けられず、日本の誇る警察力であれば95%以上は検挙されるであろう犯罪ではないだろうか。
    となれば、この作品の主軸は犯罪の真相解明ではなく、ひき逃げ犯の妻と、殺人犯の福祉局の男、それを取り巻く家族たちの心理描写に終始したヒューマンドラマではないだろうか。
    しかし、物語の進行を優先したのか、登場人物個々人の行動動機や心境変化が強引で、結果的にキャラクターの存在感が立ち上がってこなかったように感じられた。役者陣の好演でそれぞれのシーンの進行そのものはうまくいっているように見えるが、実際のところ、作者が苦しい思いをして描き出したかったテーマの奥行きが見えてこない。
    また、垣間見える事実から事件の真相が観客に伝わった後の謎解きシーンや断罪のシーンが長く感じた。手前の真相究明を短くするか、究明後のシーンを短くするかは作者のさじ加減によると思うが、なんにせよ全編2時間強は長かった。書き上げた脚本を削るのは苦しいだろうが物語のスケールとつりあいの取れた上演時間も大事な要素ではないだろうか。

    描き出したいテーマやホームレスという切り口、キャストの好演、大胆な舞台美術など、素晴らしい点も多く感じられたので、今後に期待したい。

    0

    2010/01/10 16:57

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大