この部屋で私はアレをして 公演情報 ガレキの太鼓「この部屋で私はアレをして」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ガールスパジャマパーティに煮込まれて
    中盤あたりからは
    酔いも加わったようなノリというか加速度に
    どんどんと巻き込まれて・・・。

    それでも、個々がきちんと浮き彫りになっておりました。

    ネタバレBOX

    会場のマンションの一室に入ると
    すでに二人の女性の会話が始まっています。
    テレビを見ながらのたわいのない会話。
    自然な二人の動作・・・。
    少しずつ部屋の空気に観る側がなじんでいきます。

    スタッフ部屋を出ていってお芝居が始まっても
    急に部屋のトーンが変わるわけではなく
    そのままの空気のなかで
    話が少しずつ広がっていく。
    弱火でゆっくりとその場の温度が上がっていく感じ。

    で、そこに、もう一人の友人が到着して、
    会話に一気に弾みがついてきます。

    彼女たちがそんなに頻繁にパーティをしているわけではないことが
    会話の内容からわかる・・・。
    お互いの近況を再確認するのと
    お酒が次第にまわるのに合わせて
    さまざまな彼女たちの日々が露わになってきます。

    観る側が座る、壁際からの視線と同じ高さにあるものは、
    3人の女性が日々を暮らしていく感覚のごった煮のようなもので、
    決して整然としているわけではないし、
    目を剥ぐような物語が内包されているわけでもないのですが、
    次第にぐつぐつと音を立てていくようなやりとりの至近距離にいると、
    観る側も、会話を外から眺めているのではなく、
    同じ温度に浸たされて
    彼女たちと一緒に煮込まれている気分になってくるのです。

    いくつかの話題に3人が反応する姿が圧巻、
    共通の知り合いのコシップを確かめるために
    それぞれが携帯をかけまくるときのパワー、
    あるいは上の階からの艶めかしいノイズに対する
    反応の広がり・・・。
    初めは観ていて苦笑しながらも、
    気がつけばその感覚がすごくまっとうなものに思えてくる。

    下ネタと呼ばれる範疇でのそれぞれの感性もあけっぴろげに語られ
    女性特有の周期や肉体的なことに関する話などにも隠しだてがなく、
    ふつうであれば男は下を向いて顔を赤らめるしかないのですが、
    それが、鍋の内側にいると、
    よしんば実感が持てなくても
    そういうものだと受け止められたりする。

    あるいは男の品定めのような話でも、
    彼女たちの笑えることが
    わが身を顧みることを忘れて理解できると思えてしまうのです。

    気がつけば、観ている側の感覚が
    2mにも満たない距離で沸騰するカオスにもぐりこんでしまったよう。

    でも、そのカオスの中であっても、
    女性たちがそれぞれに持っている感覚は
    煮崩れすることなくしっかりと浮かび上がってくるのです。
    一人ずつが自分の世界を持ち、
    そのことを互いに認めることができる3人だからこそ、
    醸し出されるカオスにそれぞれが溶け込んでいけることが分かる・・・。

    途中で、3人が歌をくちずさむところがあるのですが、
    その歌が不思議なくらい凛としていて
    彼女たちの想いの重なりが浮かんでくるようで。
    でも、その重なりがきちんと響くことで、
    一人ずつの色の違いがはっきりと感じられる。

    終わってみれば、ぐたぐたのなかに
    登場人物それぞれの今がきちんと観る側に移り住んでいて。

    なにか、ほんと常ならぬ経験をしたような
    気分になりました。








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    2010/01/10 00:05

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