バリカンとダイヤ 公演情報 劇団道学先生「バリカンとダイヤ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    10月18日午後、中野のザ・ポケットで上演された劇団道学先生旗揚げ二十五周年記念公演公演『バリカンとダイヤ』を観てきた。これは、知人の役者もりちぇが出演していた関係からである。劇団道学先生の公演を観るのは今回で2回目、中島淳彦の作品を観るのは初めて、フライヤーによると、出演者の中に他の公演で観て実力のある役者だなぁと感じていた関根麻帆、かんのひとみもいて、大変な期待を持って出かけたのであるが、その期待に十分応える充実した舞台であった。

    登場するのは10人の女性達。その中心となる主人公は、夫を亡くして間もない石田智恵子(かんのひとみ)である。その智恵子の元を頻繁に訪れて世話を焼くと共に、智恵子の今後の生活のことを心配する3人の娘達。彼女たちも長女智子(もりちえ)は離婚直後で娘の智美(輝蕗)を抱えて別れた夫と新しい恋人の間で揺れ動いており、会社経営の次女恵子(関根麻帆)は会社の経営が上手くいかず豪勢なマンションに引っ越したと嘘を言い実は安アパート暮らしで亡くなった父親から多額の援助を受けていた。その援助金が後にちょっとした騒動の元にもなっている。そして三女の潤子(山崎薫)は演劇関係の男性とマンションで同棲しているが、その男性が亡くなった父親と年齢的に近いという周りから観ると交際を素直に喜んでもらえない状態にあった。更に、夫の死後がなくこれ幸いと嫁ぎ先の九州から妹の智恵子の元に転がり込んできた姉の多恵子(村中玲子)。こうした身内のドタバタに加えて、夫がアメリカ人のご近所の友人フジ子(柿丸美智恵)や彼女が連れてきた化粧品のセールスウーマン島原レイ(佐々木明子)、新興宗教の信者勧誘担当者江木俊子(高橋星音)に加え、智恵子の夫が通っていたマッサージ店のマッサージ師林文琴(横田美優)といった面々が登場。
    舞台中央に智恵子の住まいの台所とベランダ、下手に智子の家のベランダと、恵子の住む安アパート、上手には潤子が男性と同棲している一軒家が配置されていた。
    タイトルにあるバリカンは、智恵子が夫の頭を刈るときに使っていたもの、ダイヤは夫からの唯一高価なプレゼント。退職金やら葬儀の経費やらから始まった智恵子に残された現金と自宅の遺産相続を巡るゴタゴタが一段落した最後に、夫の遺書のような手紙と智恵子だけに残すと高額の通帳がバリカンを入れてあった箱の底から見つかったときの「いやっほう」という一声が、この舞台の締めくくりにピッタリだったのが印象的だった。
    役者達は皆演技達者で見応えのある人物像を演じっ切っていたのはさすが。キャスティングの上手さを誉めるべきなのだろう。道学先生という劇団からも目が離せなくなってしまった。

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    2022/11/03 17:05

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