実演鑑賞
満足度★★★★
モリエールの古典を、戯曲そのままでなく串田和美が現代の観客向けにアレンジして、何度も上演している舞台。初めて見たが、期待した以上の面白さだった。物語としては単純なのだが、笑わせどころは本当に面白い。
スカパン(串田和美)が、レアンドル(串田十二夜)の父ジェロント(小日向文世)に、息子がトルコ軍艦で連れ去られたからと、身代金とだまして大金を出させる場面の掛け合いが見事(話としてはオレオレ詐欺とおなじだ)。また、スカパンがこのときステッキで何度もたたかれた腹いせに、別の日にジェロントを袋詰めにして荷車に載せる。周囲が見えないジェロントを、乱暴者に襲われたふりをしてポカポカ殴るくだりは、傑作。棒で思い切り頭をなぐるから、いい音がして痛快だった(袋の中でヘルメットをかぶっていたらしく、痛くはないようだ)。しかもいつの間にかジェロントが荷車から落ちて袋が開き、仕掛けがばれているのに、スカパンが気づかないで、空っぽの荷車をポカポカやるのは笑えた。
最初の方で、オクターヴ(小日向星一)とイアサント(湯川ひな)がラブラブで、なにかというとチュッチュッチュッとキスしまくる演出も嫌みがなく、素直に笑えた。
場面転換に短いセリフのないシーンを挟み、それが伏線や気分転換になったりする。
休憩なし約2時間。