LOVE 公演情報 ロロ「LOVE」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    端境を何気にまたぐ表現のすごさ
    シンプルだけれど
    観る側をがっつり掴む
    舞台美術や表現たち

    そのなかで
    「LOVE」を具象化していく、
    力量に愕然としました。

    ネタバレBOX

    物語はとてもシンプル、
    というか「愛」のショーケースを観るような感じ。

    いくつもの「愛」の形状が
    表現されていきます。
    それは歌であったり
    手紙であったり、
    連呼であったり、
    光であったり・・・。

    想いの表現も
    献身の姿であったり、
    プラトニックな輝きであったり、
    三角関係であったり・・・。

    それを支える集団や枠組みが
    素敵に露骨でいい加減なのです。
    愛の経過を模造紙をつないだ年表で済ましてしまう・・・。
    想いを伝え続けることがシャウトするような歌であったり
    ひたすら渡され続けるラブレターであったり、
    舞台の背景的な構築物に埋め込まれた電球の明かりであったり・・・。

    でもそれが茶番に終わらないのは
    それらが愛の形の具現化として
    ぞくっとくるほど的を得た表現になっているから・・・。

    いつの間にかコードがついて
    どんどん光りだすという感覚、
    200年生きて、相手が結婚し子供を産んでも
    なおかつ手紙を書き続ける想い。
    本当に愛することができる人とそうでない人がいること。
    愛する人への献身の気持ち。

    ひとつずつの「愛」のアスペクトの具象化に
    正確な観察力と
    震えがくるほどの表現のセンスが漲っていて。
    そのデフォルメはまるでMOMAで秀逸な表現に出会ったような感じ。
    遊牧民が国境という概念など関係なく生きているように、
    演劇と美術の端境を感じさせないような
    舞台上の表し方に取り込まれてしまう・・・。

    一度死んでご都合主義のように蘇ったり
    想いが光にまで昇華したり、
    あるいは「私の出番はこれで終わりです。ありがとうございました」と、
    劇中に礼をするニュアンスも、
    彼らが構築する世界の内側では、
    ほんと茶番ではなく
    厳然としたリアリティを持って感じられるのです。

    舞台に荒さがないとは言わないのですが、
    そんなことより
    次のシーンに何を見せてくれるのだろうと
    わくわくさせてくれるような魅力がはるかに勝っていた。

    観ているときにはまったく感じなかったボリューム感が
    観終わってからどっとやってきました。
    終演時には表現された「愛」の質量が
    観る側にきちんと載せられているのです。

    次回公演もすごく楽しみになりました。







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    2010/01/04 10:25

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