バリカンとダイヤ 公演情報 劇団道学先生「バリカンとダイヤ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    中島淳彦の作品を見るのは、先日のテアトル・エコーに続き二回目。亡くなってから急にあちこちでやりだした気がする。ホンの力の何よりの証拠だろう。確かに面白い。実家の茶の間と2階の物干し場の一杯飾り(左右に家が建て込んでいるようにみえるが、これが娘たちのアパートになる)を舞台に、老いた母親(かんのひとみ)と、3人の娘(もりちえ=好演、関根麻帆、山崎薫)が軸になるホームコメディ。1年前に死んだ夫の預金通帳をみて、最近引き出されていた1500万円をめぐって、あらぬ憶測がふくらんでいく。夫はカタブツの公務員だったのだが、何に使ったのか?

     宮崎に嫁いだ姉(村中玲子)は居候を決め込み、近所のおせっかいおばさん(アメリカ人と結婚している派手で図々しいフジ子=柿丸美智恵、好演)がなにかとひっかきまわす。フジ子は高級化粧品セールス(佐々木明子)、「神の水」を信奉する新興宗教の信者(高橋星音)を次々連れてくる。そこに夫が通っていたマッサージ師(健全なもの)で台湾出身のリン(横田実優)まで現れる。

    とにかく笑いが絶えない。場違いなところに困った人が次々現れる、シチュエイションコメディーといえるでしょう。三人の娘の抱えた困難が、ある日、いっぺんに明らかになり、母親も「いったいどうなってるのよ!」と叫ぶ。この場面など、大いに笑わせてもらった。
    友人が言っていたが、家族あるあるがたくさんあって、身につまされる。長女が次女、三女より何かと大事にされるのもそう。お金も結婚に120万、車買うのに80万などこっそり援助してもらっていたり。この金額も実感がわく数字。
    ただ終わってみるとテーマ性が弱い。夫婦の愛情の機微、よくできた人情喜劇というだけではちょっと物足りない。上演台本あり

    ネタバレBOX

    リンが2,3年前に1500万円でマンションを買ったというので、てっきり夫がリンに貢いだのではないかと思い込む。長女が「返しなよ」と食って掛かる騒動も大変。客席もそうかもしれないと思わせられた。

    バリカンは父の髪を刈っていたもので母の献身の象徴と言える。ラストに父が買ってくれたダイヤの指輪が出てくる。みんなが「ちっちゃい石!」と異口同音に言う、36年前に5万6千円の安物だけど。これが父の愛情の象徴。次女の飲食コンサルタント会社のために、家を売るということになるが、娘たちがフジ子を連れだした後、一人残った母親がバリカンの入った箱の底に、夫の残した預金通帳を見つける。妻の老後のために遺したウン千万円の遺産。ちょっとできすぎのハッピーエンドだった。わが身にはウン千万円は無理だが、ダイヤの指輪を妻にプレゼントしておくのは、参考になる。

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    2022/10/24 09:56

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