満足度★★
着想は優れているのに活かせていない勿体無さ
タイトルにも書いたとおり、浦島太郎の物語に死神を登場させ、乙姫と太郎の悲恋、
死神の孤独を描こうというアイデアは非常に美しく優れているし、過去と現在、妄想と現実、海の底と陸の上を錯綜させていく手法は面白いと思う。しかし、「親から愛されなかった医者」や「自殺願望を持つ女子高生」、「怪物化した母親」など、あまりに多くの要素が詰め込まれすぎた状態での「錯綜」であったため、観客としては、次から次に与えられる情報の中から、物語の本筋に必要なものを選別するのに追われているうちに、とうとう登場人物への感情移入もかなわず、どのエピソードも堪能できずに終わってしまった(プロローグであれだけフィーチャーされていた死神についてもちゃんと物語が締めくくられていなかったのが何より残念)というのが正直な感想だ。聞けば、学生演劇ではなくプロ志向の社会人集団とのこと。であれば、役者のレベルの格差も含め、チケットを売ってお金を受け取るという形式でこの完成度というのは、胸を張れる状況ではないかもしれない。前作「鬼桃伝」の際にも同様のことを述べさせて頂いたと記憶しているが・・・。
2009/12/31 00:19
2009/12/30 09:42
劇団員の正宗史子です。
このたびは、ご来場とコメントどうもありがとうございます。
役者のレベルに関するご指摘は、正直大変胸に刺さるように感じられました。
私たちは、お客様からチケットの料金をいただいて劇場の舞台に立って作品を上演する以上、
その代金を頂くことを許されるような事をする(というよりは料金以上のことをする)というのは
当然しなければならないことだと、考えていますが
それに叶うことが必ずしも行えていなかったというのは、歯がゆく、すぐには認めにくいことのようにも思われてしまいます。
けれど、もっとお客様にとって魅力のある作品を上演したいですし、価値のある作品を上演したいですし、そうであればそんなことをいう暇はありません。
ホームであろうとアウェイであろうと、しっかりと勉強して成長した上で、
しんのすけさんや他のお客様の前に立たなければならないと思います。
明確なご意見、いたみいります。
ご来場ありがとうございました!!