十二月大歌舞伎 公演情報 松竹「十二月大歌舞伎」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    いいじゃないですか!クドカン歌舞伎
    あまりの酷評に怖いもの観たさで行った昼の部。
    絶対楽しい筈の勘太郎君の三番ソウは遅刻して全く見逃し、残念無念。
    野崎村は、いつも舟を漕ぐことが多い演目だけれど、今回は最初は楽しく、後半はジンとして、良い人情芝居でした。私の観た野崎村では、一番の好配役。福助さんのお光が、可愛く、切なく、絶品でした。
    身替座禅も、今考えられる、最高の組み合わせ。日本のシチュエーション・コメディのお手本のような好舞台で、終始笑って堪能しました。

    そして、問題の、クドカンさんの新作歌舞伎。
    私的には、なかなか好感触の舞台でした。
    もっと、下らないのかと思っていたら、さにあらず。
    なかなか哲学的だし、落語ネタもうまく取り入れ、それでいて、クドカンさんのオリジナリテイもあって、勘三郎さんの初舞台の頃から歌舞伎通いしている私でも、全然不満は感じなかったけれど…。
    最後は歌舞伎ならではのカタルシスも感じたんだけど。
    子供も大笑いしていたし、次世代に歌舞伎を馴染ませる功績はあった気がします。
    ただ、もう少し短くまとめた方がよかったし、3階席では皆満足げだったものの、16000円払ったお客さんが満足できる演目かと聞かれたら、答えはNOかも。
    それに、本を依頼した勘三郎さんの役が立っていないので、中村屋のご贔屓には、きっと不満多いでしょうね。

    だけど、私としては、改めて、クドカンさんの引き出しの多さに感服したし、三谷さん、野田さん、蜷川さん、夢枕莫さん等の書かれたものより、好みの作品でした。一番、歌舞伎の有り様を心得た脚本に思えましたから。
    とにかく、染五郎・七之助のコンビがとてもよかった!これから、度々観たい組み合わせです。かつての、孝玉コンビのように、観ていてワクワクしました。

    ネタバレBOX

    獅童さん演じる、死神の場面は、ちょっと俳優祭の余興芝居の趣で、蛇足だった気がします。
    新聞評では、派遣問題にケリをつけないとか、かなり酷評でしたが、最後の場面は、私には、希望に満ちた終幕と受け止められました。
    人間と死者の違いは、愛や魂の有無だという、作者のメッセージのようなものを感じましたし、悪行を為した者も、生まれ変われるという希望を感じて、素敵なラストだと思うのです。

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    2009/12/25 20:36

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