実演鑑賞
満足度★★★★
開演前の広場の周り、頭のイカれた浮浪者が手押し車をガラガラ押しながら歌い続けている。小雨の中、『Singin' in the Rain』が朗々と歌い上げられ矢鱈上手い。ガラガラの関係者席を弄る。酔っているように観客に絡む彼女はキネカ大森の『もぎりさん』こと、片桐はいりさん。昔、弟さんにお世話になりました。
段々と石畳の円形のステージに人々が集まり始め開幕。マイムと持ち寄った小道具で嵐が丘屋敷が描かれていく。役者を人形のように用いり、台詞は外からマイクで別の者が入れていく。無声映画を観ているような気分にさせる入り組んだ演出。辻田暁さんは流石のたたたと駆けての空中舞踏。青いドレスの崎山莉奈さんはマイムの美しさと森若香織似のルックスで印象に残った。
複雑な話を70分で細かく描く為、粗筋を頭に入れておいた方が楽しめる。軽い嵐の中の野外劇、雨具を着て見守る観衆。ヒースクリフは自分も含めて関わる全ての人間を不幸に突き落としていく。チケットがなくても仕切りがない為、外から普通に観れる。是非観に行って頂きたい。