モンキー・チョップ・ブルックナー!! 公演情報 アマヤドリ「モンキー・チョップ・ブルックナー!!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    するっと取り込まれるしなやかさ
    トラムの広さをうまく利用して
    スピードと停滞のリズムをうまく組み合わせ、
    主人公を物語に取り込んでいきます。

    その質感に、なんというか立体感があって
    観る側もするっと惹き込んでいく。
    その流れのしなやかさに
    どきまきしてしまいました。

    ネタバレBOX

    対面形式の客席にフラットな舞台・・・。
    冒頭のシーンが観る側に丁寧に置かれていきます
    街の雰囲気が表現され、
    主人公の今がブログの文書の形態で語られて・・・。

    切れをもった表現で舞台上の時間が動かされて、
    常なる時間に主人公が吸収されていく。
    そして、遡り
    突然現れたひとりの女性のこと、
    さらにひとつの家で暮らしていた3人の男女の世界へと
    世界が広がっていきます。

    物語に対しての視点やテイストが無段階で変化していく。
    彼の部屋にとどまる女性の存在に
    ことのなりゆきや想いが、ふっとプリズムのように分かれて行く。

    想いが主人公の視野を狭窄させていくなかで
    学生時代のサークルの関係や、勤め先や、
    暮らす家でのルールまでもが
    主人公のプライオリティから剥ぎ落ちていきます。
    まるで砂時計を反転させるように
    捉えられる側の感性が捉得る側から見える景色へと
    差し替わって、想う心がそのまま鎖へと変質していく。

    物語自体が突飛というわけではありません。
    下世話な話ですが
    たとえば、恋をすれば、程度こそあれ、
    拘束をしたりされたりの想いってセットでついてくるはず。
    ただ、この舞台からやってくる想いには
    その感覚にありえないような立体感があるのです。

    いくつかの燈台に照らされて、
    浮かび上がってくるものがあるというか
    複数の視点がしたたかに編みこまれているというか・・・。

    それが大仰さもなく、
    するっと入り込むようにやってくる。
    舞台の質感を作り上げるつくり手や役者達に
    常ならぬ才能を感じたことでした。

    ラストのシーンにも惹かれた。
    聞こえる音や溢れる光に
    再び視野が開かれた中での
    強いインパクトがあって。
    作品全体の印象をしっかりと観る側に残しておりました。

    あと、余談ですが
    主宰が開演前に説明していた
    公演中の出演者アクシデントによる車いすのお芝居も
    (前を観ていないから判断はできないけれど)
    観ていての違和感はなし。
    終盤近くの4人のシーンでのチョウ・ソンハの
    鬼気迫る長台詞では、
    怪我の功名などというと怒られてしまうかもしれませんが、
    聞く側の車椅子でのお芝居が
    ある種のニュアンスを付加していて
    効果的ですらあったように感じました。


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    2009/12/22 14:28

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