実演鑑賞
満足度★★★★★
己の思考を用いて自らの進路を選択できぬとすれば、そしてそれが真か事実であるなら、これほど惨めで哀しい事は無い。以蔵の頭脳が作中、以蔵役の台詞に現れた通りならば彼の殺人は責められるべきではなかろう。然し、本当にそれほど無能だったのだろうか? 犬を殺して剣術の稽古をしたという件があったが、人も犬も呼吸が大切だとも語っていた。これは剣術のみならず格闘技の本質の一つである。本当に無能な人間にこのような本質が掴めるとは思えない。寧ろ彼は己の生い立ちに於いて武士として必要な教養を修めることが出来なかった為に勤王・佐幕の政治的議論に参加できなかった件を「己が馬鹿だから云々」という言葉で表現していたのではなかったか?(追記後送)