満足度★★★★
あの作品のあのシカケ
独身を装いたい女性と同じマンションに住み妻帯者を装いたい元カレとの利害が一致して、1~2時間だけ互いの部屋を交換するが予想外の出来事や思わぬ訪問者があり、とっさに誤魔化そうとするが…という王道コメディ。
脚本家は当日パンフに曰く、某作家の戯曲を読んで「いつか同じことがしたい」と思ったそうで、そのことを「創り手にあるまじき想い」としているが、「あの作品のあのシカケ」を使うためにこういう設定を創造したことでもうそれは十分オリジナリティがあると言えるし、この種の作品の定番と言える嘘や思い違い、勘違いと偶然の一致の数々はもちろん模倣などではなくよく計算され練られているし、という「インスパイアされた作品」であり、クーニー親子に代表されるファルス(笑劇)として上出来。
各キャラ(及びその演技)もそれぞれ良く、中でも報知機設置業者の美濃部とプロデューサーの一之瀬が特に印象に残る。
また、美濃部が「うまいこと」を言う度に柝の音を入れるのは愉快。