実演鑑賞
満足度★★★★
面白い、珠玉作。
嘘が嫌いな主人公・理を 一役3人が違う世代で紡ぐ心象劇。オムニバスを長編に書き直しているため、多少違和感はあるが、それでも一人の男の心の彷徨を上手く繋いでいる。物語に頻繁に出てくる宮沢賢治の小説「銀河鉄道の夜」の一節を朗読し、物語の雰囲気というか世界観を抒情豊かにしている。主人公の心の旅は小説そのものであり、生と死を見つめるもの。
チラシにも書かれている「私はここであなたを見てる。俺は君を忘れてる。という嘘のお話」が、始まりであり結末でもある。その観せ方が、冒頭と終わりを回帰させる展開、つまり旅の始まりであり終わり。夢(心)の中で悩み苦しんだ末、(現実の)生を謳歌する決意が出来た といった後味の良さにしている。
(上演時間1時間10分)【星チーム】