太陽と下着の見える町(庭劇団ペニノ) 公演情報 フェスティバル/トーキョー実行委員会「太陽と下着の見える町(庭劇団ペニノ)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    生きる道程をわかりやすく
    ポップな表現に、ぞくっとくるようなリアリティがあって・・・。

    人の生死と欲望が
    絡まりあっていきます。

    色とキャラクターから溢れ出す
    作者のカラフルな人生観に取り込まれてしまいました。

    ネタバレBOX

    2階建ての舞台。
    下はいくつかの部屋に分かれているみたい・・・。
    一方上には大きな部屋とバルコニーが設えられています。

    静寂な中でひとりの男がその家をゆっくりと見まわる。
    で、そこからいきなりイメージのザッピングが始まるのです。

    断片的に現れるいくつかのシーン。
    それらは色の記号とともにランダムに出現する。
    シーンが変わるごとに響き渡るノイズとチューニングの経過音。

    やがて、舞台は落ち着きを見せ、下手から上手へ並んだジェネレーションのイメージへと収束していきます。
    無垢なままに、街を作ろうと夢見る幼い頃。食欲に走る10代、自らを抑制しようとする20代、30代には自立を目指し、40代は満たされた欲望をあからさまに振りまく。そして、廊下をはさんでトイレとベットだけの部屋ですごす50代。

    いくつもの目を見開くような表現があって・・・。
    30代という女性が当初かたっぽの靴を履いてよろけているのが、
    やがて靴をきちんとはいて闊達に歩けるようになって・・・。さらに靴の色も白から赤に変わっていく。歩きつづける経験がもたらす純潔から妖艶への変化を見るよう。

    40代の女性配り積み上げる、赤を表紙にした官能小説が暗示するもの。
    パンチラとしてみせる下着の色も、欲望の深度の象徴に思えて・・・。

    また、幼い部屋に住み着いた悪魔のイメージも秀逸。天井から落ちる砂のような時間とともに、生まれついてからすでに存在している死を観客に想起させてくれます。

    一方上の階は現実と理性の場所。手術の光景、パンティが象徴する欲望とかかわりながらの恋愛や結婚のイメージ。

    それらがやがて、一人の人生の俯瞰のように舞台の中に収められて・・、
    結末が男に降りてくるのです。

    たっぷりとウィットが効いたイメージがたくさんあって、見ていて飽きない。
    しかも腑に落ち方がワンシーンだけではなく、時間差でやってきたりもして。
    また、ベーシックな舞台のルールというか法則性に気付いてからは
    ひとつずつのシーンに語られるものがくっきりと見えてきて
    その現れるものの豊かさにますます嵌る・・・。

    多分、全ては観きれていないと思うのです。
    作り手側が携えたものを全て受け取っていたわけではないと思う。
    色々と見落としている気もする・・・。

    それでも、パンティの色ひとつであらわす世界観の深さに驚嘆し
    下世話なSM的世界から見えるものに思わず苦笑をしたり。
    さらにその下にあるという広大な駐車場の世界にも思いを馳せて。

    厳然とした人生観と、
    それを描くポップな美の感覚と下世話で洒脱な遊び心。
    がっつりと楽しむことができました。

    本当に面白かったです。

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    2009/12/14 12:00

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