最高傑作 -Magnum Opus- 公演情報 劇団銀石「最高傑作 -Magnum Opus-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    掛かり方に磨かれて
    冒頭、連作の、それぞれのパートから滲み出るニュアンスには、
    バラツキというか個々にバラけたようなものもあるのですが、
    ひとつずつの表現する色が深く鮮明で
    目を離すことができない。

    やがて
    やわらかくつながるものが浮かんできて
    その掛かり方に個々の作品が磨かれて・・・。

    終わってみれば不思議な
    満たされ感を抱えておりました。

    ネタバレBOX

    入場すると
    カップルが毛糸を繰りながら
    会話をしています。
    ちょっと中央アジアを思わせるその服装に
    開演前から観る側がそめられて・・・。

    個々の物語は独立していながら、
    それぞれの場所やベースになるものに
    緩やかな掛かりがあります。

    どこか西アジアを思わせる衣装がとても秀逸、
    旧約聖書の世界が借景にされている作品などでは
    物語のニュアンスにベースが生まれ、
    観る者はそこから展開を眺めることができる。

    自らが自らを生産できないロボットと
    自らを滅ぼすロボットを生産できない人間のす関係から生まれる
    閉塞感や終末感の中で呼吸をしながら、
    物語の前提や、ガラス玉に押し込まれられたニュアンスで
    その世界を眺める・・・。

    とても乾いた感覚のなかに
    その世界に押し込められた者たちの息遣いが
    観る側をやわらかく浸潤していくのです。
    よしんばそれがロボットであっても
    どこかに感情移入をできるものがある。

    連作の物語をつなげるものが
    そのまま観客の内側にまで縫いこまれるような感覚があって。
    一番観る側の肌の温度に近い最後の作品を観終わって
    それまでの作品の記憶にも
    柔らかい光が生まれてくるのです。

    翻訳される言葉の無機質さが
    その両方に有機的な想いを作り出していくすがたに
    ゆっくりと心を奪われて・・。

    アフタートークがあって、
    個人的には作品の意図がかなり補足されました。
    なるほどとうなずく部分もたくさんあったのですが、
    ちょっと伝わってきていないなと思わせる部分もあって。
    それはそれでとても面白かったです。

    役者たちの持つ切れや、
    リズムのあるお芝居も魅力的、
    作り手側に表現したいものへの貪欲さがあって
    それがもっと整理できれば
    さらに化けるというか物語の奥行きが観る者を引きこめるような気がして。

    次の公演も楽しみになりました





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    2009/12/13 08:19

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