ガラスの動物園 公演情報 新国立劇場「ガラスの動物園」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    冒頭、トムが「これは追憶の劇。ハーフトーンの芝居」と語る。それに忠実に従うように、視覚的に陰影に富んだ演出だった。舞台奥の出入り口の吹き抜けからの間接照明、ローラとジムが語り合う場面ではろうそく1本しか光源がないかのような隠し照明など、照明プランが素晴らしい。それが芝居の内容に集中する上で極めて効果的だった。

    横長の箱のような室内の壁は、黄土色のけばだったスエード生地のようで、よく見ると、たくさんの顔が浮かび上がっていた(無数の顔の意味は不明だが)。箱の前面の壁を上げ下げして「暗転」することで時間の経過を示す。照明が変化するくらいで、セット転換はほとんどないのに、しっかり目隠しをおろすあたり、場面ごとの照明の変化をさらに効果的にしていた。

    ガラス細工の動物たちも、普段は壁の中の小部屋にしまってある。時々、扉を開いて、キラキラをチラ見セする。ジムに見せる時だけ取り出し、舞台前面中央に置かれ、そこにきらきらと照明が当たる。今まで見た「ガラスの動物園」のなかでも、最も美しくはかない動物たちだった。

    母アマンダ役のイヴォ・ヴァン・ホ-ヴェは母としての明るさしぶとさ、意外なたくましさがある。大竹しのぶのようだ。しかも極めて自然体。名優である。休憩なしの2時間とコンパクトにまとめていた。最後のトムの後悔の語りが刈り込まれていた気がする

    ネタバレBOX

    アマンダがトムに「夜にどこに行ってるの?」「映画館が夜の2時までやっていないってことは知ってるのよ」などとといつめる。何度もそういうシーンがある。今まであまり気にならなかったが、今回くどく感じた。トムはただ映画いってるだけなのに…と。

    プログラムを見ると、演出家が「トムは男たちのところに行っているのは間違いない」と新しい解釈を出していた。これはトニー・クシュナーの新版「ガラスの動物園」への序文からヒントを得ているそうだ。テネシー・ウイリアムズがゲイだったこと、その後の戯曲に何度もゲイが取り上げられていることは周知だったが、トムもそうだったとは。新しい発見だった。

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    2022/10/03 22:47

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